実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『香港四重奏(香港四重奏)』(邱禮濤、羅卓瑤、麥曦茵、陳果)[C2010-70]

TOHOシネマズ六本木ヒルズで、オムニバス映画『香港四重奏』(東京国際映画祭)を観る。第24回東京国際映画祭のアジアの風部門アジア中東パノラマの一本。

『もち米炒飯(生炒糯米飯)』

邱禮濤(ハーマン・ヤオ)監督、杜宇航(デニス・トー)主演。無難にまとめられていてわかりやすく、食欲もそそる。しかし、ノスタルジックな雰囲気がいかにも受けそうな感じなので、ちょっと斜に構えて観てしまった。また、短篇にしては起承転結がはっきりしすぎていて、個人的にはもっと開かれた映画が好き。杜宇航が生炒糯米飯を食べる店として蓮香居が登場(行ったことないけれど)。

『レッドアース(赤地飯)』

羅卓瑤(クララ・ロー)監督、吳彦祖(ダニエル・ウー)主演。日が沈まなくなった話で、メッセージ性が高く、ひたすら長くて苦痛だった。舞台は君悦酒店(グランドハイアット香港)。

『恋は偏屈(偏偏)』

麥曦茵(ヘイワード・マック)監督、徐天祐(チョイ・ティンヤウ)、楊淇(ケイト・ヤン)主演。香港の街中をケータイで電話しながら歩く男女を描いたもの。最初、このふたりがカップルと思わせて、そのうち別々の相手に電話をしている、関係のないふたりということがわかってくるのはおもしろいが、最後のすれ違いかたにもうひと工夫ほしい。なぜ誰も楊淇主演の映画を撮らないのか不思議だが、久しぶりに見た彼女はちょっとふつうになっていた。酔っぱらい演技が紋切り型で残念。

『黄色いサンダル(黄色拖鞋)』

陳果(フルーツ・チャン)監督、簡仲宜(ジョーイ・カン)主演。「陳果の映画史」みたいな趣で、香港映画好きをくすぐる作品。懐かしの香港映画の名シーンがアニメのように画像処理されて出てくる。『いますぐ抱きしめたい[C1988-46]が何度も出てきてうれしかった。