実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

高雄旅行第二日:高雄

昨夜遅かったので、遅めの6時半すぎに起床。テレビは、阿扁の保釈が認められなかったニュースでもちきり。今回のホテルは朝食つきなので、素直にホテルで食べる。例によってバイキングだが、前回よりも悪くなっているような気がする。全体のバラエティは保ったまま経費節減しようとしているので、細かいところでの選択肢が減り、ひとつひとつの品質が落ちている。

9時ごろホテルを出て、紅毛港へ向かう。紅毛港というのは、南西部の高雄第二港に面した、旗津と向かいあうように突き出た部分にある漁村である。『百年恋歌(最好的時光)』の“戀愛夢”は旗津が舞台だと思われるが、ロケ地は紅毛港らしい。詳細はわからないが、『壁を抜ける少年(穿牆人)』や『ビューティフル・クレイジー(亂青春)』も撮られているようだ。まわりは工業地帯で、『壁を抜ける少年』に出てくる台灣電力大林發電廠も近くにある。しかし紅毛港の漁村はすでになく、住民は引っ越して民家も取り壊されたらしい。バスもずっと手前までしか行かなくなっているが、Googleマップでは民家らしきものがたくさん見えるし、ビリヤード場はなくなっていても、映画のなかの空気の痕跡くらいは見つかるかもしれない。そう思って、とにかく行くだけ行ってみるつもりである。

まずは捷運で紅線の南側終点、小港まで行く。駅でトイレへ行ったら、‘衛生紙請直接投入馬桶内’(トイレットペーパーは直接便器に捨ててください)という貼り紙があり、びっくりして3回くらい読んだ。ほんとうに捨てていいものか、手が震える。小港からは高雄市公車の紅2路で鳳北路口へ向かう。駅のまわりを離れるとすぐに、バスは工場地帯に突入。通りの両側には、とにかく工場しかない。高雄が工業の街であることを実感する。そういえば、『風櫃の少年(風櫃來的人)』でも『深海 Blue Cha Cha(深海)』でも主人公は工場勤めで、こことは少し違うけれども工場地帯が出てきた。

永遠に続くかと思われた工場地帯を抜けるとすぐ、バスは鳳北路口(↓左写真)に着いた。紅毛港がたとえすっかり更地になっていても、行くことは行けるだろうと思っていた。ところが道路の拡張工事が行われており、ここから北へは行くこともできなかった。外海路は工事中、海汕路は工事車両しか通れない(↓右写真)。見えるものは工事用の囲いと樹木だけ。発電所の煙突もここからは見えない。


どうしようもないので帰ることにする。終点の鳳鼻頭港から引き返してきた同じバスで小港に戻り、捷運で三多商圈へ。ここは大きなデパートがいくつも集まっている、高雄の商業的な中心である。高雄のガイドブックをもっていないので、まずは高雄大遠百の中の誠品書店へ。“高雄捷運漫遊”というガイドブックと、“眷村菜市場”という本を買う。眷村菜がブームなのか、レシピ本なども出ていて平積み状態。それから隣のLEON'S COLLECTIONという店でハゲ(蔣介石)Tシャツを買う。ちょうどセールで、2枚で499元と超お買い得。誠品書店の中にもハゲグッズコーナーがあり、ちょっとしたブームという感じ。蔣公大好きのJ先生は興奮気味。

大遠百を出て、高雄でいちばん高い高雄85大樓(↓左写真)の74樓觀景台へ。J先生は高所恐怖症のくせに、高いところへ上りたがる。展望台は、客がほとんどおらず閑散としている。遠くに霞んで見える旗津のほうを眺めたり、これから行くロケ地を確認したりする(↓右写真)。今回の旅行の準備で高雄の地理がけっこうわかったこともあり、なかなか楽しい。


上からよく見えた陳中和紀念館(↓左写真)を見に行く。日據時代の実業家である陳中和の住居で、1923年竣工。それから中山二路と興中路の交差点で『ヘルプ・ミー・エロス(幫幫我愛神)』のロケ地をチェック。李康生(リー・カンション)が尹馨(アイビー・イン)にバイクで送ってもらうところ(↓右写真)。実は大遠百を出てからずっと、昼ごはんを食べるところを探していたが、適当なところがないので太平洋SOGOの美食街へ。訒師傅滷味でやっと昼ごはんにありついたのはほとんど15時。排骨飯を食べて桂花酸梅湯を飲む。


おなかが満たされたところで、本格的に『ヘルプ・ミー・エロス』のロケ地探し。中央公園をまわり、五福三路を高雄橋へ向かっていると、高雄女中の前で突然、『ヘルプ・ミー・エロス』に出てくる地下道入口に出くわす。
xiaogang.hatenablog.jp
高雄橋のたもとには、1931年竣工で三級古蹟の玫瑰聖母聖殿主教座堂(前金天主堂)(↓左写真)。左手には西臨港線跨河鐵橋(↓右写真)が架かっており、台灣鐵路の臨海線が廃止されたのに伴い、西臨港線自行車道の一部になっている。


これらふたつの橋の周辺では、『ヘルプ・ミー・エロス』のいくつかのシーンが撮られている。
xiaogang.hatenablog.jp
xiaogang.hatenablog.jp

愛河を渡るとホテルが近いので、買ったものなどを置きにいったん帰る。このあとは愛河の上流方面へ行く予定だったが、これから行くと暗くなってしまうので、変更して哈瑪星方面へ行くことにする。まずはホテル近くの阿婆仔冰でかき氷。
xiaogang.hatenablog.jp
暑い季節に来るのは久しぶりなので、今回はかき氷を食べようと気合いが入っている。食べ終わって店を出るとすでに暗いが、このあたりは建築の宝庫なので、1947年竣工の大舞台大戲院(↓左写真)など古い建物を見ながら、捷運西子灣站方面へぶらぶらと散歩。壹貳樓古蹟餐廳(↓右写真)で晩ごはんを食べる。ここは、1920年竣工の山形屋書店の建物を利用したレストラン。しかしレストランとしてはダメで、湖南辣子雞は期待したものと違っていたし、古早味金瓜米粉は食べるのが辛かった。外から眺めるだけにしておいたほうがいい。


たった一駅を捷運で帰ろうと言うJ先生の意見は無視し、高雄港へ行ってみる。以前、澎湖行きの船を探しに来たときは、あまり立ち入れない雰囲気だったが、今はすっかり観光地化されている。漁人碼頭というレストランが並ぶ地域もあるし、臨港線の線路だったところは、上述の西臨港線跨河鐵橋から続く西臨港線自行車道となっており、時おり自転車の集団が通り過ぎていく。その脇に並ぶ倉庫は、改装されて駁二藝術特區という展示施設になっている。暗くてよく見えないが、台糖の倉庫(↓左写真)など再利用されていない渋い建物も残っている。自行車道を愛河沿いの真愛碼頭まで歩き、それから愛河に沿って北上。愛河の西岸も、愛河連接蓮池潭自行車道として整備されている。愛河に架かる橋はライトアップされ、美しいが少しケバい。中正橋(↓右写真)近くまで行ってホテルに戻る。


今日の歩数は33976歩。最後の洗濯のあと、帰りに買った猫熊燒なるものを食べる。
xiaogang.hatenablog.jp