実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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高雄旅行第四日:高雄

6時起床。かわりばえしない朝ごはんを食べ、9時ごろ出かける。今日は左營の蓮池潭方面へ行く予定だが、その前に捷運で文化中心へ。『ヘルプ・ミー・エロス(幫幫我愛神)』に出てくる四維國宅(↓左写真)と自來水公園(↓右写真)を見に行く。


四維國宅は、周采詩(生命線の痩せているほうのカウンセラー)が住んでいるところ。エレベータの扉を撮ろうとしていたら、突然扉が開いて住人が出てきたりしてなかなかたいへんだ。自來水公園は、映画の終盤で李康生(リー・カンション)が池に入っていたところ。街中にある狭い公園に貯水塔がどーんと建っているのがなかなか楽しい。
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次はメインの蓮池潭へ。捷運は蓮池潭から少し離れたところを走っているので、迷ったけれど台鐵で行くことにした。捷運で高雄車站へ移動。何も考えずに左營までの區間車の切符を買ってから時刻表を見ると、區間車は40分以上ない。着いてから清算することにしてとりあえず11:12の莒光34次に乗ったが、莒光號は当然のように左營を素通りして新左營で停まった。逆方向の區間車で左營まで戻る。自動改札ではなかったので、上りの區間車の到着を待って降りた客に紛れて改札を出る(ごめんなさい)。結局、40分待って區間車に乗ったのと同じ到着時間。やれやれ。

左營車站(↓左写真)前のうるさいタクシーの勧誘を振り切り、城峰路を下る。やがて右手に鳳山縣舊城東門(鳳儀門)(↓右写真)が見え、城壁が続く。鳳山縣舊城(左營舊城)は、もともと1684年に造られた鳳山縣の縣城だが、現在残るのは1826年に再建されたもの。三つの城門は國家一級古蹟に指定されている。


修復中らしき鳳山縣舊城南門(啟文門)まで下り、近くの果貿國宅を見に行く。幾棟も並ぶ半円形の建物がユニーク(↓写真)で、ちょいと住んでみたいところ。左營には、海軍陸戰隊學校、海軍技術學院、海軍官校、海軍陸戰隊司令部などがあり、眷村が多い。果貿國宅は、眷村に住んでいた人が移住した國宅だということで、入口には青天白日滿地紅旗がはためいている。各棟の1階部分がお店になっているが、先日買った“眷村菜市場”に高雄で唯一掲載されており、早點(朝ごはん)のおいしいお店が充実しているとのこと。午前中しかやっていないので、早めに行って昼ごはんを食べようと画策していたが、残念ながら間に合わなかった。


左營大路を蓮池潭方面へ戻る。途中、國軍五二五福利站があったり、胡嘉恆將軍紀念碑(↓左写真)があったり、軍隊ムードが濃厚である。眷村である崇實新村の入口の崇實新村碑(↓右写真)は、信号機を兼ねていてユニークだ。横の塀のスローガンは、ひと昔前は‘反共’だの‘大陸反攻’だの勇ましいことが書かれていたに違いないと想像するが、現在は‘社區環境會更好’である。平和だ。


汾陽餛飩(↓左写真)で昼ごはんを食べ、おじさんの手際がめちゃくちゃ悪い店で西瓜汁を買って飲む。勝利路に入って、國家一級古蹟の鎮福社や鳳山縣舊城北門(拱辰門)(↓右写真)を通り過ぎると蓮池潭に到着。


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蓮池潭では、これまでの軍隊モードや下町ムードは消えて、突然観光地ムード。大きな池のまわりになにやらキッチュな建造物が並ぶ蓮池潭は、本来ならあまり行きたいと思わないところだが、『西瓜(天邊一朶雲)』のロケ地なので行かないわけにはいかない。ここで最も有名な建物、龍虎塔が、『西瓜』の中で“奇妙的約會”が歌われるミュージカル・シーンのロケ地(別項に記載予定)。龍から入って虎から出ると罪や災いが消えるらしいので、作法に従って龍から入ると、番人つき強制募金箱が…。みんな払っているので、できるだけ見えないように5元ずつ入れた(少なすぎ?)。

龍虎塔(↓左写真)では、陳湘蒞(チェン・シャンチー)や李康生(リー・カンション)の踊りがたっぷり繰り広げられるので、出てくる場所をチェックするため、龍に上って下りて、それから虎に上って下りる。ほとんど同じなので、たいていの観光客は龍だけ上って済ませているようだ。出るときになって龍の口を内側から撮る必要があることに気づいてまた龍から入ったが、募金箱を避けるためそのまま龍から出てきてしまった。


龍虎塔が出てくる前に、李康生が石段を歩くシーンがあるので、すぐ近くの湖畔の丘へ行ってみる。彼がよじ登っていた立て札(↑右写真)があったのでここだと思うが、なぜか石段の位置が映画の撮影時から変わっているようだ(別項に記載予定)。売店で紅茶を買い、途中で買った中外餅舖の棋餅を食べる。中外餅舖は1925年創立の老舗で、棋餅はここの名物だが、落雁系でちょっと甘すぎるので落第。ふたたび左營から15:07の区間車3177次に乗って高雄に戻る。

次の目的地は中都唐榮磚窯廠。捷運からは離れているが、高雄車站から建築などを見ながら歩いて行く。まずは高雄市立高雄高級中學の紅樓(↓左写真)。1922年竣工の旧・高雄州立高雄中學校である。近くで、ウワサに聞く‘山本頭’の看板発見。


次は廃止された駅、三塊厝火車站(↓左写真)。1923年竣工の木造の駅舎で市定古蹟。これから修復されるらしく、屋根が架けられている。老周熱冷飲でちょっと休憩。今日のかき氷は八寶冰。中華三路の古びた地下道をくぐり、線路の北側へ出ると、廃墟ムードが濃厚な場所に出た(↓右写真)。おそらく、かつて工場地帯だったのが工場が郊外に移転し、まだ再開発もされていない地域だと思われる。


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中都唐榮磚窯廠は、1897年創立の旧・台灣煉瓦會社打狗工場で國定古蹟。広い敷地の入口には、修復してこぎれいになりすぎた紅磚事務所がある。工場は一部しか残されていないおらず(↓写真)、中へは入れない。『壁を抜ける少年(穿牆人)』や『ビューティフル・クレイジー(亂青春)』がここで撮影されているらしいが、場所は一部しかわからなかった(別項に記載予定)。草むらに赤い虫が大量に這っているのが気持ち悪い。

ふと愛河のほうを見ると、『深海 Blue Cha Cha(深海)』に出てきた赤い橋が目についた。この中都橋(↓左写真)を渡って対岸へ。河西一路を少し南下すると、前回も訪れた李威(リー・ウェイ)が住んでいたアパートがあり、そのまわりの景色などをチェック(別項に記載予定)。そのまま河辺を歩き、建國橋を過ぎて七賢橋へ。七賢橋は『風櫃の少年(風櫃來的人)』にも出てくるが、『ヘルプ・ミー・エロス』では廖慧珍(リャオ・ホイジェン)が河辺で吐くシーンで登場している(↓右写真)。


愛之船國賓站から168路のバスで夢時代へ。168路は、捷運の駅をつなぎながら捷運の通っていないところをカバーし、高雄中心部を囲むように走っている環状のバス。捷運とこのバスをうまく使えば、たいていのところへは行くことができる。統一夢時代購物中心は、『ヘルプ・ミー・エロス』で、李康生が周采詩をつけていって訪れるところのひとつなので、その場所をチェック)。玉珍齋でおみやげを購入し、晩ごはんを食べるところを探すが、日式の店ばかりで全然ダメ。夢時代は、日本色が強すぎて日本人にはおもしろくないところと聞いていたが、たしかにそうだと思う。しかたがないので、空腹をがまんして屋上の摩天輪(↓左写真)に乗る。キティちゃんのクッションがあったりする超ファンシーな観覧車で、風情はぜんぜんない。雨が少しぱらついているし、もともと工場地帯が再開発された場所でもあり、景色はいまひとつ。やはり昼のほうがいいと思う。
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『ヘルプ・ミー・エロス』には、もう一箇所、夢時代が出てくる。李康生と尹馨(アイビー・イン)がドライブする夜のシーンだ。車で立体駐車場の入口のようなぐるぐるの道を上っていき、車から降りた尹馨が摩天輪のネオンを見る。Googleマップで見ると、夢時代の北のほうにそれらしき丸いものが見える。摩天輪から見ると、そこには工場のようなものしか見えず、真っ暗である。とにかくそこへ行ってみようと北に向かって歩いていくと、しばらくしてぐるぐるが見つかった。ここは台糖高雄物流園區(台糖成功物流園區)というところらしく、中へ入ってぐるぐるを上ってみることはできない。


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獅甲から捷運に乗る。高雄に来て燒肉飯を食べていないのが気になっていたので、晩ごはんは老牌周記燒肉飯に行くことにした。高雄車站近くの本店に行ってみたかったが、J先生が面倒がるので、前回も行ったホテル近くの支店に行く(↑右写真)。最後の晩餐はふたりでたったの115元。燒肉飯を堪能したが、ちょいと物足りないので高雄婆婆冰で最後のかき氷。今回はかき氷がたくさん食べられてよかったが、フルーツ+黒糖シロップの組み合わせを食べそびれたのが超心残り。全家で金牌台灣啤酒とカシューナッツを買って帰る。今日の歩数は37799歩。宜蘭方面が集中豪雨になっていて、ニュースは降雨量や明日の休校などを報じていた。23時半すぎに就寝。
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