実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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台湾旅行第六日:台北→新莊→台北

昨夜遅かったので今日は6時起床。八方美學の朝食も当然バイキング。種類が少ないと思ったらテーブルひとつ分見逃していて、さらに別に卵料理も作ってくれた。聞きにきたのが「第二弾行こうか」というころだったので、オムレツを頼んだら満腹になって第二弾には行けなかった。

今日は珍しくあまり遠出をしない予定。まず最初は、この旅行の目的のひとつでもある台北市立動物園(公式)。捷運で動物園站に着くと、大貓熊だらけの装飾(↓左写真)に迎えられ、それだけでなんだかドキドキする。動物園に着いて、まさにチケットを買おうとした瞬間、J先生が一枚の貼り紙を指して騒ぎだす。「大貓熊館は第一月曜日休み」。ご丁寧に休日のリストつき。5月4日。今日だ。「明日がある、明日がある、明日があ〜る〜さ〜♪」と歌いながら(ウソ)、動物園站に引き返したが、わたしの落胆たるや、思うべしである。


悠遊卡にチャージするための100元札が足りないので、落胆したわたしの慰安も兼ねて蜂大咖啡にお茶を飲みに行く。捷運で西門まで移動し、西門紅樓(↑右写真)が無事にあることを確かめて蜂大咖啡へ(id:xiaogang:20090504#p2)。前回、「次はぜったい2階の禁煙席に行くぞ」と決意したが、2階へ上がろうとしたら強引に1階に座らされた。よく見ると全席禁煙になっている。どうやら法律ができたらしく、ほかの店でも禁煙の貼り紙が目立った。

100元札ができたので、西門站でチャージする。いつもは100元しかチャージしないが、今回はどーんと豪勢に500元ずつチャージした。大金なので「落としたらどうしよう」と思うと悠遊卡を持つ手が震える。考えてみたら、500元なんて1500円くらいなのだけれども。

北門から11:40の桃園行き三重客運バスに乗る。行き先は新莊(台北縣新莊市)。あまり遠出をしないといってもやはり台北市外には出る。目的地は樂生療養院(公式)。『午後3時の初恋』[C2007-35]で、陳柏宇(張孝全/ジョセフ・チャン)が入院している精神病院のロケ地である。せっかくチャージした悠遊卡は使えなかったが、中正路をがんがん走るので、わかりやすくて速い。

樂生療養院には舊院區と新院區があり、めざすロケ地は舊院區。舊院區の建物は、1930年竣工の台灣總督府癩病療養樂生院。日據時代にハンセン病患者の強制収容施設として建てられたものだ。今世紀に入ってから、隣に台北捷運新莊線の機廠が造られることになり、患者や支援者と政府とのあいだで、舊院區の取り壊しをめぐる攻防が続いてきたようだ。住み慣れた患者さんたちの希望、強制隔離施設の遺構としての歴史的な意義や建築的な価値から保存を求める声が強かったようだが、結局取り壊されることになってしまったらしい(詳細は維基百科(LINK)などを参照)。

そのような経緯から、まだ建物が残っているかどうか、残っていても入れるかどうか全くわからないまま、とにかく行くだけ行ってみようと思ってやって来た。特に塀や門はなく、敷地内には簡単に入ることができた。奥のほうには新院區のビルが見えたが、手前の低い建物が点在しているあたりをうろついていると、聖望教會という教会(↓左写真)や煉瓦造りの建物(↓右写真)があった。


めざす建物は機廠の建設現場に近いところにある白っぽい建築群。一部はすでに取り壊されて更地になっており(↓左写真)、残っている建物もかなり荒れていた(↓右写真)。それでも、映画に出てくるところのいくつかは残されていた(id:xiaogang:20090504#p3)。

帰りはふつうの路線バスに乗ったせいか、中山捷運站までおそろしく時間がかかった。昼ごはんを食べるため捷運で中正紀念堂まで移動し、ついでなので中正紀念堂改め台灣民主紀念館を覗く。國民黨政権に戻ったので名称を元に戻すらしいが、まだ台灣民主紀念館で、牌樓の文字も‘自由廣場’だった(↓左写真)。わたしはもちろん國民黨シンパではないが、ここの名称は中正紀念堂のほうがふさわしいと思う。なぜなら、ここは蔣介石独裁のシンボルであり、台灣が過去に独裁国家であった歴史を記憶し、そこから学ぶべき場所だからだ。だいいち台灣民主紀念館に蔣介石の像(↓右写真)がどーんとあったら、まるで蔣介石が民主主義を推進したヒーローのようであり、それでは歴史の捏造になってしまう。

広大な‘自由廣場’を横断し、杭州小籠湯包でやっと昼ごはん(id:xiaogang:20090504#p4)。それから古亭方面へ南下。このあたりも眷村なのか、塀の向こうに日式家屋が並んだ路地(↓左写真)や大きめの日式家屋、バラックのような家が多い。青天白日滿地紅旗を掲げた家(↓右写真)もあった。

目的地は亂太郎玩具專賣店(公式ブログ)(↓左写真)。『Orzボーイズ!』で、卡達天王のフィギュアを使ってアコギな商売をしていた店のロケ地である(id:xiaogang:20090504#p5)。残念ながら月曜定休でシャッターが下りていた。

引き続き『Orzボーイズ!』のロケ地探訪のため、捷運で龍山寺へ移動。騙子二號(潘親御/パン・チンユー)がおばあさん(梅芳/メイ・ファン)と住んでいた薬草屋のロケ地、新富市場(↑右写真)へ行く(id:xiaogang:20090504#p6)。新富市場(東三水街市場)は、1921年に造られた歴史ある市場(市定古蹟)。本体があるのかないのかよくわからない、路地の集積みたいなところで、同じところをぐるぐるまわったりしながらも二號の家を見つける。残念ながら月曜日はお休みで、薬草屋も閉まっていた。月曜日はどこもかしこも閉まっている。騙子一號(李冠毅/リー・グァンイー)、二號が市場に出入りする路地もここのはずだが、何度歩いても見つからなかった。

新富市場のすぐ近くには剥皮寮老街がある。老街を修復保存した場所ということだったが、終わっているのは半分(↓左写真)で、あと半分はまだ工事中だった(↓右写真)。工事主は近くの老松國小のようだが、修復後はどのように利用されるのだろうか。すでに修復された部分は、アーチ型の五腳基がなかなかいい感じだ。


このあと迪化街方面へ行き、老店めぐりをする予定だったが、ここですでに18時近くになってしまった。このところ毎回行きそびれ、今回は絶対行きたい四川吳抄手に、混まない時間にたどり着きたい。迪化街は諦めて捷運で忠孝新生に移動、百年老店の台北犁記餅店(公式)で牛軋糖などを買って今日の活動は終了。ふたたび捷運で忠孝敦化に移動して、四川吳抄手で晩ごはん(id:xiaogang:20090504#p7)。

21時ごろホテルに帰り、今日もラウンジでタダのマシン淹れ珈琲を飲む。今日の歩数は27341歩。目標に到達しない日が続いている。今日は曇っていて涼しかったが、雨はパラパラ程度しか降らなくてよかった。今日から洗濯がなくて、ああらくちんだ、ああのんきだね。