実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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[映画]『あひるを背負った少年』

Meal MUJIで昼ごはんを食べて銀座をあちこちぶらぶらしたあと、再び東京フィルメックスへ。應亮監督の『あひるを背負った少年』を観る。

張國榮(レスリー・チャン)似(といっても美男を想像してはいけない)の少年が、都会へ出稼ぎに行ったまま帰らない父親を探しに行く話。そう聞くと、純朴な少年が旅の途中でいろいろな人に出会って助けられる、ほのぼの系映画を想像する。たしかにいろいろな人に出会って助けれらるのだが、彼らはみんな犯罪に関わっていたり犯罪に巻き込まれたりする。そもそも主人公が短気で暴力的で、ほとんど共感できない。父親を見つけてどうするのかは全然予測しないで観ていたら、少年のとった行動自体も、その描き方も衝撃的だった。父親を見つけるあたりから街に洪水が近づいてきて緊迫感が高まり、豪雨が降りはじめ、少年と父親との間にどんないきさつがあったかはすべて省略されて、いきなり事後のシーンになる。

少年は街へ向かうバスの中で早くも犯罪に出くわし、街での毎日はいつも犯罪や暴力と隣り合わせで、さらに洪水までやってきて、街中が強制避難させられる。それでは農村は平和なのかというとそんなことはなく、農民は借金を抱えて貧しく、工業団地ができるために村全員が移住させらようとしている。江澤民体制から胡錦濤体制への移行を告げるニュースも流れ、このストーリーには多分に象徴的意味があると思われる。

全員素人を使った低予算映画で、言葉はほとんど方言。中国でもこういう映画が増えてきたことは喜ばしい。ロングショットを多用した映像もなかなかよかった。舞台は四川省自貢市。川の中に沈んだ仏像の頭が出てきたが、実在するのなら行ってみたい。ちなみに、タイトルを見てどうやってあひるを背負うんだろうと思ったが、背負っているのは籠で、中にあひるが入っているだけだった。なぁーんだ。

上映後、應亮監督を迎えての質疑応答があり、ぜひとも聞きたかったが、次の時間が迫っていたので泣く泣く帰る。