朝から横浜へ。109シネマズMM横浜で、日曜日に観そびれた金知雲(キム・ジウン)監督の『グッド・バッド・ウィアード』を観る。この映画館もこの監督の映画もはじめて。
宋康昊(ソン・ガンホ)、李炳憲(イ・ビョンホン)、鄭雨盛(チョン・ウソン)という豪華キャスト(個人的には特に興味はないが)による、満洲が舞台のウエスタン。かねてから、大陸を舞台に西部劇を撮ったらぜったいおもしろいと思っていたが、期待に違わずすごくおもしろかった。
まずおもしろいのは、時代考証をわざと無視しているところ。舞台は1930年代の満洲だが、ハルビンも奉天も出てこない。闇市のある町や集落、お尋ね者の似顔絵など、香港の古装片のような古めかしさで、時代は明という感じ。その一方で、現代的な小物が随所に取り入れられている。登場人物の服装も、李炳憲は現代ものの韓国ドラマから抜け出してきたみたいだし、鄭雨盛は昔のアメリカ西部風。そのせいで、全体としては、近未来のような感じさえ漂う、無国籍な雰囲気を醸し出している。
宋康昊はとりあえずいつもの宋康昊っぽい、随所で笑える役。李炳憲は『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』[C2009-03]を思わせるキレた役で、『殺しの烙印』[C1967-10]みたいに「ナンバー1は俺だ」を繰り返す。鄭雨盛はどこまでもかっこいい役。彼が登場するたびにマカロニ・ウエスタンみたいな曲が流れ、笑っちゃうほどクール。鄭雨盛って、もうちょっと頬がこけていたらもっとかっこいいのに、あのほっぺたが惜しいと思う。3人の正体は、最後まであまりはっきりとは明かされないが、わたしは鄭雨盛は独立運動に関わっているのだろうと思ったけれど、違うのだろうか。
豪華韓国人スターのほかには、島田紳助、丹波哲郎、中井貴一が出ている(もちろんウソです)。中国語や日本語はまともだった。クレジットをちょっと見たところでは、ロケ地は敦煌あたりのようだ(満洲じゃないじゃん)。
『続・夕陽のガンマン』[C1966-35]をはじめとして、いろいろな映画を取り入れているようだが、日活無国籍アクションと『スチュワーデス物語』へのオマージュだと言われたら、わたしは信じます。