実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『キャンディレイン(花吃了那女孩)』(陳宏一)[C2008-25]

遅めに出京して新宿へ。超久しぶりに新宿野村ビルの炒伽喱へ行き、開店を待ってサマーカレー5hotを食べる。急いで、第18回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(公式)をやっている新宿バルト9へ移動。はじめてなので場所がわからずあせったが、ぎりぎり間に合った。

観たのは台湾映画で、陳宏一(チェン・ホンイー)監督の『キャンディレイン』。4組の女の子カップルを描いたオムニバスで、共通点は、住んでいる部屋が同じなのと、Candy Rain宛の宅配便を受け取ること(このあたりのメルヘン趣味にはちょっとついていけない)。

クレジットから推測すると、実際の体験談みたいなものを聞いて映画にしたと思われるが、25分ほどの短い映画で、各エピソードのエッセンスが十分に表現できているとは言いがたい。全体的にそうだが、特に第一話“如果南國冰封了”は、思わせぶりなだけで中身のないMV映画に見えた。第二話“看不見攻撃的城市”、第三話“夢見相反的夢”はそれなりに楽しめたが、第四話“像花吃了那女孩”はいきなり漫画チックな演出になっていていただけない。これには、林嘉欣(カリーナ・ラム)、王心凌(シンディ・ワン)、許安安(シュー・アンアン)といったスターが出ているが、全然おもしろくなくて、林嘉欣の警官姿しか印象に残らなかった。第一話では、駄菓子屋のおじいさん(本物?)が出てきたら突然ドキュメンタリータッチになったりするし、オムニバスということで、監督はいろいろとやりたいことを試しているのだろう。しかしそれならそれで、一話ごとの雰囲気や撮り方をきちんと決めて、もっとわかりやすく違いを出したほうがいい。

ストーリーと絡めて歌がたくさん使われているが、これも次から次という感じであまり印象に残らない。音楽過多な印象が、MV映画っぽさを高めている。唯一、第三話で王菲(フェイ・ウォン)の“約定”が繰り返し使われているのが印象に残る。四話のなかではこの第三話がいちばんいいが、それはこの曲の効果に負うところが大きい。

おもしろかったのは、ストーリーよりも各話の主人公たちが住んでいる部屋である。同じ部屋が、全く異なるインテリアで登場する点も興味深いが、アパートの一室の中の、二つの部屋を仕切る壁に窓があるのが気に入った。引き戸を開けるとワンルームになるというのとはまた違って、明らかに別の部屋なのに、窓を開けると開放感がある。こんな部屋に住んでみたい。字幕では濟南路と出ていて、かなり遠いと思うが、附近から台北101が見えるショットもあったと思う。ここと、第一話に出てきた龍井車站にはちょっと行ってみたい。

この映画(第二話)のラーメンは、日本製のカップ麺(『スープの達人』だったと思う←もう売っていないみたいですね)。すごくうまそうだった。わたしも牡羊座で、几帳面なほうだと思うが、粉末スープの袋をハサミで切って開けたりはしない。