実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

『マルセイユの決着(おとしまえ)(Le Deuxieme Souffle)』(Alain Corneau)[C2007-43]

今年初めての映画を観に、朝から出京。まずは渋谷へ。

今は違うが、以前わたしのケータイのメールアドレスはgangだった。ある日、知らない人からメールが来た。「あなたはギャングなんですか? 僕はギャングです。やっぱギャングだよね。」正確には憶えていないが、こんな内容。なんとなく楽しいので、しばらく保存していた。わたしは残念ながらギャングではないが、やっぱ『ギャング』[C1966-07]だよね。というわけで、今年初めての映画は『ギャング』のリメイク、『マルセイユの決着』(公式)。

『ギャング』は20年前に観て以降、DVD化、テレビ放映、再上映を熱烈に希望している映画である。しかしいまだに叶わない。最近、中華系以外の情報には疎いので、『マルセイユの決着』のことは全く知らなかったが、『ノン子36歳』を観たときに予告編を観て知った。実はこの映画自体よりも、この機会に『ギャング』のDVDが出ることのほうを期待しているのだが、ともかくリメイクは観ておくことにする。しかし、タイトルは『マルセイユの決着』。「決着」と書いて「おとしまえ」と読む。こんなタイトルのフランス映画なんて、ふつう観たいと思わないよね。日本映画だったら観たいけれど。キャストは高倉健池部良富司純子でお願いします。

実は『ギャング』の内容はほとんど憶えておらず、リノ・ヴァンチュラが超かっこよく、映画もすごくよかったという印象があるだけである。ところがリメイクの『マルセイユの決着』は、リノ・ヴァンチュラがやったギュ役をダニエル・オートゥイユがやるという。もともと顔が嫌いだが、雰囲気や存在感からしても、どうみたって無理である。万一ということもあると思ったが、やっぱり無理だった。ダメダメである。演技もくどい。ブロ警視がミシェル・ブランというのも冴えない。

結局、お話はとてもおもしろかったけれど、映画としては凡庸だった。大作映画っぽいというか、映像も音楽も色彩も過剰でうっとうしい。アラン・コルノーってもうちょっと淡々とした映画を撮る人だと思っていたのだが。最後まで観ても『ギャング』のストーリーは思い出せなかったけれど、あらすじを読むとほとんど同じ話のようだ。

よかったのは、オルロフ役のジャック・デュトロン(誰かに似ていると思うのだが、思い出せない)。ヴァンチュール役のダニエル・デュヴァルもよかった。いいのは老人ばかりという感じだが、マヌーシュ役のモニカ・ベルッチも悪くない。この人を見るのは実は初めてなのだが、今回はブロンドに染めていることもあり、ネットで写真を見るとけっこう雰囲気が違う。もちろんマヌーシュ役のほうがいいので、いつも60年代風にしていたらいいのに。