実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『サザエさんの新婚家庭(スイートホーム)』(青柳信雄)[C1959-38]

阿佐ヶ谷へ移動し、適当なパスタ屋で遅い昼ごはんを食べてからラピュタ阿佐ヶ谷へ。今度の映画はがらっと変わって『サザエさんの新婚家庭』。つまり実写版サザエさん。「昭和家族百景」特集の一本。

観ようと思ったのは、マスオさんが小泉博なのに惹かれたからである。マスオさんって、サザエさんみたいな妙な奥さんに、なにデレデレしているんだろうという感じだが、これが小泉博だと全然イヤミがない。タイトルバックからいきなり「うん、サザエ」とか言ってすっかり言いなりなのだが、それも微笑ましい。なかなかすばらしい配役である。江利チエミサザエさんは、ちょっと過剰だけれど、あの髪型を再現しているだけでよしとする。波平が藤原釜足でフネが清川虹子というのは、アニメのイメージとはかなり異なるが、このほうが人間臭くていいような気もする。

あくまでサザエさん夫婦がメインなので、子供たちの存在感はあまりないが、なんとカツオが白田肇。同年の映画『お早よう』[C1959-06]の幸造(杉村春子の息子)である。しかもマスオさんがテレビを買っちゃったりするのだからおもしろい。

なんだか時代設定が不明なテレビアニメとは違い、1959年という時代が反映されているのが興味深かった。磯野家とフグ田家が家計やごはんが別なのもおもしろい。でも、『お早よう』ではどこもテレビがなかなか買えず、『秋刀魚の味[C1962-02]では中古のゴルフクラブを月賦で買うのにも大騒ぎなのに、月賦とはいえ、マスオさんが悩みもせずにテレビを買っちゃうのはどうなのか。