実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『美しさと哀しみと』(篠田正浩)[C1965-03]

二本めは、川端康成原作の『美しさと哀しみと』。

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20年以上前に、フランス版の『美しさと哀しみと』[C1985-19]を観たあとに観ているが、ほとんど憶えていないので再見。観はじめる前に、加賀まりこ山村聰八千草薫という苦手トリオの主演だから、好きになるはずはないということに気づいてしまう。

お話はなかなかおもしろいのだが、やはり主要登場人物の誰にも興味をもてない。山村聰=大木年雄=川端康成は、あいかわらず嫌悪感を催すいやらしさ。『舞姫[C1951-03]みたいにあからさまにイヤな男ではなく、一見人当たりのいいジェントルマンに見えるだけに余計やっかいである。

八千草薫=上野音子は、現代の部分は悪くないものの、十六七の少女だった八千草薫と妻子ある山村聰の恋愛というのがぜんぜん想像できない。何を考えたのかちょっとだけ回想シーンがあるが、現代部分とほとんど変わらなくて無理がありすぎる。これはぜったい入れるべきではなかったと思う。その点、この役にシャーロット・ランプリングを配したフランス版の配役はすばらしい。実は、フランス版の内容も感想も憶えていないのだが、十六七の少女であるシャーロット・ランプリングといえば誰でも『愛の嵐』[C1973-02]を連想するから、そこのイメージで困ることはない。フランス版を観直したくなった。

加賀まりこ=坂見けい子はイメージに合っているが、逆に合いすぎていておもしろみがない感じ。当時はけっこう衝撃的だったかもしれない役だが、今観るとただの不思議ちゃんという気がしないでもない。ただ彼女がとっかえひっかえ着る着物はいい。

いちおう鎌倉ロケ映画だが、鎌倉も京都も、あまりロケ地的な魅力は感じられなかった。

所用で八重洲富士屋ホテルに行って、それからMeal MUJIで晩ごはんを食べて帰る。