『須賀敦子のミラノ』読了。
- 作者: 大竹昭子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2001/04/17
- メディア: 単行本
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- 旅行記風にまとめる
- 作品や作家の足跡に沿ってまとめる
- 場所を中心にしてガイドブック風にまとめる
のいずれにするかが、まず最初に悩むところであろう。旅行記風だと旅を追体験するような形になって読みやすいし、著者よりも描かれている作家や作品に興味があるときは、それらを中心にしたもののほうがいい。しかし読んでしまって、さてこれを活用して旅行の計画を立てようなどと思うと、やはりガイドブック風のほうが使いやすい。
この本は、基本的には旅行記風の体裁をとりながら、同時に須賀敦子の足跡をたどるような構成になっている。訪れた場所について、出てきた部分の引用も比較的多く、作品だけでなく書簡等も援用している。各作品に対する著者の評価や感想など、著者自身も前面に出ていて、わりとバランスの取れた内容になっていると思う。
たしか去年イタリアへ行く予定だったはずだが、結局行けず、それなら今年という案も、もはや限りなく不可能になりつつある。行けたとしても、最初はシチリアへ行く予定だ。しかしミラノは二番めに行きたいところだし、定常的に自分をイタリア化しておかないと行けなくなりそうなので読んでみたが、今まで漠然としていたミラノのイメージがかなりクリアになったのがよかった。また、『若者のすべて』[C1960-12]をはじめ、映画への言及がけっこうあってよかった。