二日連続Meal MUJIで昼ごはんを食べて、いつも忘れている副都心線の存在をふと思い出し、これに乗って渋谷へ。シアター・イメージフォーラムで、ルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』(公式)を再見する。
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2009/09/26
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エレヴェーターが止まってしまったために犯罪の計画が狂ってしまう話だけど、サスペンスとしてみればそれほどおもしろいわけでも、よくできているわけでもない。この映画の魅力は、主演俳優、時代の雰囲気、音楽の三つだと思う。奇しくも、この前に観た『シングルマン』と全く同じ。
主演はジャンヌ・モロー。めちゃくちゃ綺麗でかっこいい。ただし、顔のお肉はけっこうたるんでいる。「顔のたるみはここに出る」特集の見本みたいにたるんでいる。しかし、たるんでいてもたいへん美しく、もちろんアップにも耐える。そして、ただカフェに座っていたり、街を歩いていたりするそのたたずまいが、最高にかっこいい。
ついでにほかの俳優について書くと、相手役のモーリス・ロネはまあどうでもいいが、思いがけのうリノ・ヴァンチュラが出ていてうれしかった。リノ・ヴァンチュラの刑事役というのは健さんの刑事役と同様、多少違和感があるが、けっこうそれらしく決まっていた。
舞台はパリ。1957年の映画だからその頃の話だろう。特別当時の時代背景みたいなものが出てくるわけではないが、モノクロで撮られたパリの街のたたずまいが、特にどうということはない風景なのにたいへんかっこいい。
音楽はマイルス・デイヴィス。全篇にわたって同じような音楽が流れているが、これがまた最高にかっこいい。もしこの音楽がなかったら、おそらくこの映画の魅力は半減するだろう。
ところで、今公開されているもうひとつの『死刑台のエレベーター』。観ていないし、観る気もないし、観ないであれこれ言うのはよくないと思うが、勝てるわけない、と思う。どこかで予告篇を観たが、全くおもしろそうに見えなかった。主演を見ただけでげんなりだが、少なくとも街がかっこよく撮れなければダメだと思うし、今の東京ではそれは難しい。
もしかして、香港が舞台だったらリメイクできるかもしれない、と思う(台北を舞台にして台北101のエレヴェーターを使いたいという誘惑にもかられるが)。そこで主演俳優を考えてみる。ジャンヌ・モローとモーリス・ロネは当時30歳くらいだけど、今は30歳くらいの俳優ではこの雰囲気は出ないと思う。最近twitterで、香港には(年相応の役を演じられるような?)三十代の男優が不足しているというのが話題になっていたけれど、女優はさらに不足している気がする。結局、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、梁朝偉(トニー・レオン)夫妻という結論になったが(結局そういう年齢層かよ)、どうだろう。刑事役は梁家輝(レオン・カーファイ)で。