実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『男の影』(大槻義一)[C1964-41]

ラピュタ阿佐ヶ谷の特集「記者物語 - ペンに懸ける」(公式)で、大槻義一監督の『男の影』を観る。「大槻義一ってだれ?」と思って調べたら、大槻ケンヂの叔父さんで、昨年末に事故死されていたことを知る。そんなことがわかっても、結局映画監督としての大槻義一のことはさっぱりわからないのだが。

映画は、新聞記者の園井啓介が、先輩の元記者・加藤嘉のためにやくざがらみの事件に挑むサスペンス。園井啓介って、『夜の片鱗』[C1964-41]に続いて見るのは二度めだと思うが、主役をはれるほどの魅力に乏しい。この二作品もだが、『あの橋の畔で』(未見)でも桑野みゆきと共演しているので、桑野みゆきの相手役が定位置だったのだろうか。観た二作品では正義漢すぎてヘンという感じなのに、調べたら脱税で芸能界を追放されたそうで、人は見かけによらないものである。

そんな監督も知らない、主演もぱっとしない映画を観たのは、ただただ吉田輝雄様がご出演されているからである。彼は特別出演で、かっこいいことが存在理由みたいな刑事の役。園井啓介が輝雄様の部屋に居候することになったので、いろいろアヤしい展開があるかと期待したが、家のシーンなど1回くらいしかなくて完全に肩すかし。出番が少ないなあと思っていたら、最後に犯人を追いつめるところで刑事の出番とばかりに大活躍。おいしいところをもっていって、さわやかな笑顔を見せてくれた。サスペンスとしてはいまひとつだけど、阿佐ヶ谷まで観に行った甲斐はあった。