実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『傷だらけの男たち(傷城)』(劉偉強、麥兆輝)[C2006-31]

朝から日比谷へ。みゆき座で、劉偉強(アンドリュー・ラウ)、麥兆輝(アラン・マック)監督の『傷だらけの男たち』(公式/映画生活/goo映画)の初回を観る。受付が開く前に行ったら、じいさんばあさんなど、やけに年齢層の高い行列ができていてちょっとびっくり。

王家衛(ウォン・カーウァイ)のキャメラマンとしての劉偉強はすごく買っているが、映画監督としての劉偉強にはあまり興味がない。(続篇は観ていないが)『インファナル・アフェア[C2002-27]も、ふつうにおもしろかったけれどとりたててすごい映画だとは思わない。そんな私がこの映画を観たのは、澳門(マカオ)ロケがあるから。出演者が梁朝偉(トニー・レオン)、金城武、徐靜蕾(シュー・ジンレイ)、舒淇(スー・チー)という豪華さで、金城以外みんな好きなのも理由のひとつ。

金城武による殺人事件の捜査を通して、犯人がわかっている観客に対してその動機を明らかにするという構成。時々思わせぶりにヒントを出しつつも、謎解きの大部分は金城武の台詞に頼っていてかなり苦しい。クサい邦題に即していえば、「傷だらけの男たちの自己回復の物語」でもあるわけだが、そのあたりは意図がわかりやすすぎて胸に迫ってこない。また、たとえば金城武が殺人現場を検分するシーンに犯行のシーンを重ねたりするような凝った構成や編集は好みではない。でもまあ、ふつうに楽しめる香港映画。

本心を見せない梁朝偉の曖昧なたたずまいが不気味で、さすがに存在感があるが、なんだか石坂浩二化しはじめているのが心配だ。金城武は『ウィンター・ソング[C2005-44]に比べたらよかったが、酔っ払いの演技とかが微妙。個人的にはもっと注目を浴びてほしい徐靜蕾は可もなく不可もなく。舒淇は余裕でやっていたけれど、「またそんな役?」な役。

肝心の澳門ロケはほんのちょっとだけ。とりあえず、澳門旅遊塔(マカオ・タワー)と西望洋聖堂(ペンニャ教会)の写真(2006-2007年)を載せておく。ペンニャ教会は『三人の博徒[C1967-V]にも出てきたあたり。前回行きそびれた場所(帰りの飛行機の中で場所がわかった)が出てきたのが悔しい。