『海域アジアの華人街 -移民と植民による都市形成-』読了。
海域アジアの華人街(チャイナタウン)―移民と植民による都市形成
- 作者: 泉田英雄
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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特に華人街の空間構成に関して、天后宮、関帝廟、福徳祠等の位置関係についてはこれまで気にしたことがなかった。これから台湾の老街等を歩くときにも、そのあたりに注目してみたいと思う。それからこの本によれば、「カキ・リマ」や「五脚基」と、「亭子脚」や「騎廊」(「騎樓」のほうが一般的だと思うが)とは異なるもので、公的歩廊としてのものは「カキ・リマ」、「五脚基」と呼ぶのが正しいらしい。そうすると台湾のものも、日本植民地時代の建築規則に基づいて作られたものは、「カキ・リマ」、「五脚基」と呼ぶべきだと思われる。
非常に広い範囲の調査から、共通点や相違点を抽出しているので、個別の華人街について、あるいは個別のテーマについて見ると薄い感じが否めないが、どれをとってもひとつの研究テーマになり得るであろうものなのでしかたがない。ひとつ気になったのは、マレイシア等のコーヒーショップ(Kedai Kopi)のことが「屋台食堂」と書かれていること。たしかにその実態を表現する言葉ではあるのだが、一般的に流通している言葉が無視されているのは残念だ。