実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『アイス・カチャンは恋の味(初戀紅豆冰)』(阿牛)[C2010-14]

今度は渋谷に移動して、NHKアジア・フィルム・フェスティバル(公式)へ。阿牛(アニュウ)監督の『アイス・カチャンは恋の味』を観る。ファーストアルバムをもっている歌手の阿牛(陳慶祥)が監督・主演。

マレーシアの小さなチャイナタウンを舞台に、たぶん高校を卒業してぶらぶらしたり家業を手伝ったりしている幼なじみの少年少女たちが、恋愛や親子関係や進路の悩みを通じて成長して、それぞれの道を歩き出す、という青春映画。コメディタッチで、ちょっと胸キュンで、たわいもないけれどかわいらしい小品である。監督・主演の阿牛(陳慶祥)をはじめとして、台湾や香港で活躍するマレーシア華人スターが豪華共演。以下、具体的な感想。

感想その1:おめーら、いったいいくつだよ。この映画に出てくる少年少女は二十歳前後と思われるが、演じているのは(現在の歳)、阿牛=34歳、李心潔(アンジェリカ・リー)=34歳、 曹格(ゲイリー・ツァオ)=31歳、 梁靜茹(フィッシュ・リョン)=32歳、 品冠(ビクター・ホァン)=38歳…。無理です。そりゃあ阿牛や李心潔は若く見えるので、何も知らずに観ればそれなりに観られるかもしれないが、品冠、あんたは犯罪です。しかも白馬の王子って…。巫啓賢(エリック・モー)まで同列に連なっていたらどうしようと思ったが、さすがにそれはなくて李心潔のパパ役だった。

感想その2:アイス・カチャン食わせろ。せっかくマレーシアへ行っても食べたいものがありすぎてなかなか食べられないが、次に行ったらぜったい食べる。ちなみに、原題からするとアイス・カチャン=紅豆冰なんだろうか。紅豆冰というとかき氷の中でも最も地味なイメージで、アイス・カチャンのカラフルなイメージと合わない。でも、映画に出てきたのも中華系だからかわりと地味だった。あと、李心潔のおかあさんが作っていた炒粿條も気になる。

感想その3:マレーシアに行きたい。主な舞台は、阿牛の家である咖啡店(コーヒーショップ)。わたしはマレーシアのコーヒーショップが死ぬほど好きだ。台湾の茶藝館よりも、香港の茶餐廳よりも、パリのカフェよりも。この映画に出てくる南洋咖啡店は、本物の咖啡店でロケしているからだろうが、何から何までマレーシアのコーヒーショップの香りがあふれている。店内に屋台があって食べ物を提供しているのもふつうのこと。いかにもなテーブルやカップも、見ているだけで行きたくてたまらなくさせる。店の外も、チャイナタウンなのでカキ・リマ(五脚基)にショップハウスに、見ごたえのある景色がたくさん。小さな町で、ちょっと行くとすぐに郊外に出る感じもいい。

舞台となる町のロケ地は、どうやら怡保(Ipoh)あたりらしい。また、李心潔がおとうさんに会いに行くところで檳城(ペナン)の水上家屋なども出てくる。最後は吉隆坡(クアラ・ルンプール)。

ところで、邦題は『アイス・カチャンは初恋の味』とすべきである。