実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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「生誕一五〇年 後藤新平」(『東京人』2007年10月号)[M48-245]

『東京人』2007年10月号の特集『生誕一五〇年 後藤新平』読了。

東京人 2007年 10月号 [雑誌]

東京人 2007年 10月号 [雑誌]

後藤新平に関しては本も何冊か読んでいるので、知っているような内容かなと思いつつも買う。ところが、これが『東京人』にしてはなかなか読みごたえのある特集だった。

関東大震災からの帝都復興が中心になっているのは『東京人』だから当然だが、ほかにも、西澤泰彦:『満鉄が造った東アジアの「世界都市」。』、黄俊銘:『台湾に文明をもたらした、科学的植民地政策。』、藤森照信:『大正十二年、レーモンドが建てた麻布の家。』など、都市や建築にまつわる記事が多いのが嬉しい。

後藤新平の再評価の機運が高まっているのは、いまの政治家を見ればよくわかる。一方で、台湾の植民地統治の中心にいた人物だけに、手放しの評価には危ういものを感じるのも事実である。実際、この特集のなかにも、上述の「台湾に文明をもたらした」とか、李登輝による『台湾に文明を築いてくれた。』とか、ひっかかるタイトルもある。前者は特に問題のある内容ではないが、李登輝のはちょっとやばいかも。でも「第一回後藤新平賞受賞記念講演」からのものなので、ヨイショも入っているだろう。

後藤新平は「何よりも「仕事」の人だった」(p. 94)そうで、それはもちろん、「肩書きの人」や「お金の人」よりずっといいし、政治家としてはいいだろうが、家族や上司にはあまりいてほしくないタイプである。