実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『お國と五平』

東京国際映画祭は2本で終わりで、京橋へ移動する。はなまるで10分でうどんを食べてフィルムセンターへ。最後の成瀬巳喜男特集通いで『お國と五平』を観る。未見の作品は全部観ると書いた(d:id:xiaogang:20050821#p1)けれど、『禍福』だけ観られなかった(台風が来ていたのでやめてしまったのだった)。

武士の夫を殺されたお國(木暮実千代)が奉公人の五平と共に仇討ちの旅をする物語。旅をするうちにふたりの部屋がだんだん近づいていってやがて結ばれるが、そこに仇の山村聰が現れて物語は皮肉に展開する。封建制度の欺瞞に目覚めてしまう木暮実千代と、武士道精神といったものを全く持ち合わせていない山村聰の人物像が新鮮。特に、「卑怯者に生まれてしまったのが悪いのであって、それは俺のせいではない」といった趣旨の山村聰の台詞は、そのうち使わせてもらおうと思う(実はさっきも使ったけれど)。