キネカ大森の名画座2本立てで、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『ブエノスアイレス』を観る。半年ぶり四度め(前回の感想は、id:xiaogang:20111021#p4)。
- 出版社/メーカー: プレノンアッシュ
- 発売日: 2012/04/01
- メディア: Blu-ray
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- この映画は世に「ブリーフ映画」として名高いが、実はブリーフをはいているのは冒頭の回想部分だけで、メインの部分はトランクスである。つまり、香港からもってきたのはブリーフだったが、アルゼンチンで買い足した(買い替えた)のはトランクスだった、ということのようだ。そんなわけで、「アルゼンチンでブリーフは買えるのか?」が目下のところ最大の関心事である。
- 初見のときから思っていることだが、梁朝偉(トニー・レオン)が若くてハンサムに撮られておらず、歳を取った感じと疲労と苦悩を色濃く漂わせているのがいい。しかしそれで終わるのではなく、最後に台北で張震(チャン・チェン/ジャン・ジェン*)(の写真)と再会し、すべて吹っ切れたあとは、いつもの若々しくてハンサムな彼に戻っている。そこがまたいい。さらに、張國榮(レスリー・チャン)に「パスポートは返さない」と言うときの邪悪な顔が最高。
- 全篇を通じて、この映画は梁朝偉の映画であると感じるけれど、彼が去ったあと、彼と入れ替わったような行動を続けた挙げ句、毛布を抱いて泣く一連のシーンでの張國榮の存在感は圧倒的である。
- ふたりの陰に隠れがちではあるが、この映画で最もヘンタイなのは張震である。彼の声フェチの徹底ぶりにあらためて感心する。
- ピアソラの音楽の、この映画に対する貢献度は相当なものである。もしもこの音楽がなかったら、ここまでこの映画に心を動かされないかもしれない。
- ラストシーンは台北捷運中山國中站だが、当時終点だったこの駅がもはや終点ではないというのがなんだか切ない。台北のロケ地はこのへん。