シネマヴェーラ渋谷の特集「鈴木清順 再起動!」(公式)で『けんかえれじい』を観る。21年ぶり二度め。2007年にロケ地の長野県上田市へ旅行に行ったので、その前に録画で観直してよさを再認識していたが、やっとスクリーンで再見できた。
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しかし、『悪太郎』の東吾はモダンな軟派で、『けんかえれじい』の麒六はダサいバンカラ。文学よりも喧嘩。それは大正初期と昭和初期との違いでもあり、時代の薫りという点では両者はかなり異なる。主人公の元気とは裏腹に、軍事教練、軍隊に踏みにじられる道子と十字架、二・二六事件といった終盤の描写は、迫りくる時代の息苦しさを予感させる。
麒六の喧嘩修業をはじめとして、全体的にはかなりコメディっぽいが、そのぶん情緒的なシーンがメリハリをつけて投下されていて、恋愛パートでの切なさはこちらのほうが上。会津若松での障子のシーンがすばらしい。岡山の桜や会津若松の雪も印象的。それに和泉雅子より浅野順子のほうが可憐だ。和泉雅子は、北極へ行きそうで、からだが弱いように見えないしね。
主なロケ地は、上述したように長野県上田市。確認できたのは、上田カトリック教会、上田城跡公園、長野県上田高等学校、日本基督教団上田新参町教会。
ところで、わたしは数年前までほとんど地上波を見ていなくて、少しは見るようになって驚いたのは、高橋英樹がバラエティなどにしょっちゅう出ていて、すっかり「今の人」だったことだ。もうちょっと「往年のスター」でいてもらいたいのだが。