有楽町スバル座で、韓三平(ハン・サンピン*)監督、黃建新(ホワン・ジェンシン/ホアン・ジエンシン*)監督の『赤い星の生まれ』(東京・中国映画週間/公式(中国))を観る。第24回東京国際映画祭の提携企画、2011東京・中国映画週間の一本。
中国共産党成立九十周年記念の国策映画(百周年まで待たなかったのは、もつかどうかに不安があるからなのか?)。1911年の辛亥革命から、第一次世界大戦、五四運動を経て1921年の中国共産党第一次全国代表大会に至るまでを描く。ちなみに、この大会が開かれた場所である中共一大會址紀念館には1999年に行った。
政治の流れをたどりながら共産党成立までの過程を描いていくが、これにさらにその後活躍する主要人物の活動まで盛り込んでいる。どうみても一年間の大河ドラマで描くほどの内容だが、2時間ほどにまとめているため、ダイジェストみたいになっている。だから全部が見どころという感じで、その場その場はおもしろいが、流れがきちんと見えないし、いろんな人物が出てきては中途半端に消える。台詞の字幕のほかに、説明の字幕や登場人物の名前が画面の上や横に出て、気づかなかったり読みきれなかったりして、とにかく忙しい。さらに、女性スターも出ないと客が入らないからか、それほど必然性のない女性の出るシーンが無駄に長い。
何を描いて何を描かないか、取捨選択ができていない時点で失敗だと思う。しかし、いろいろな出来事が淡々と描かれており、特定の人物や出来事を感動的に盛り上げたりしておらず、国策臭もなくて観やすい。逆に、国策臭を楽しみながら観るのを期待するとがっかりする。
いちおう毛澤東=劉燁(リウ・イエ*)が主役だが、最重要人物は陳獨秀=馮遠徵(フォン・ユエンジー*)だと思う。もっと大物スターを使うべきだ。劉燁は役づくりのためかちょっと太っていて、毛澤東にわりと似ていた。毛澤東が楊開慧=李沁(リー・チン*)と結婚するときに、自分と結婚すると苦労すると言うシーンがあったが、「それ、貧乏とか革命とかの苦労じゃないから。女性問題だから」と心の中で突っ込んだ。
ところで、わたしがこの映画を観ようと思ったのは、蒋介石=張震(チェン・チェン/ジャン・ジェン*)が女装するシーンがあると聞いたから。そのシーンは冒頭すぐで、キリスト教の尼僧に化けるのはいいのだが、ガタイがデカくてごっつすぎる。しかも異様にデカいマスクをしていて顔がほとんどわからず、 女装というには中途半端だ。したがって、尼僧萌え映画にはほど遠かった。
かなり豪華キャストだが、一瞬出るだけの人も多い。超有名人をスターが演じているのは、周恩來=陳坤(チェン・クン*)、胡適=吳彦祖(ダニエル・ウー)、袁世凱=周潤發(チョウ・ユンファ)、宋慶齡=董潔(ドン・ジェ/ドン・ジエ*)など。ほかに劉徳華(アンディ・ラウ)、梁家輝(レオン・カーファイ)、任達華(サイモン・ヤム)、王柏傑(ワン・ポーチェ/ワン・ボージエ*)、周迅(ジョウ・シュン*)、范冰冰(ファン・ビンビン*)、アンジェラベイビーなどが出ている。