実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『薔薇の標的』(西村潔)[C1972-25]

銀座シネパトスの特集「東宝ニューアクションを狙撃せよ!」で、西村潔監督の『薔薇の標的』を観る。ヒロインが甄珍(チェン・チェン)で、香港ロケがちょっとだけあった。

70年代のかほり漂うアクション映画。主演は加山雄三で、太いモミアゲがものすごくヘン。おなかも出はじめている。甄珍についてはよく知らなかったが、台湾女優で、謝賢の元妻、劉家昌の現妻なんですね。顔を見ているとアイラインを入れなきゃいけない強迫観念にかられるけれど、それ以外は単にかわいいだけでそんなに魅力は感じない。台詞は英語だったけれど、“忘不了的你”を歌っていた。

この映画でいちばんかっこいいのは岡田英次。ネオナチのボスだけど、それはぜったいにおかしい。どう見てもラテン系の雰囲気で、ゲルマンっぽい要素は微塵もない。ネオナチ教育を受けている上半身裸の青年たちも、ナチスというより『燃えよドラゴン[C1973-20]とかに出てくるような、香港の離島で武術訓練している青年のイメージだった。

熱く見つめる岡田英次様を無視して甄珍に走る加山雄三は、加山雄三のくせに身のほど知らずで生意気だと思う。また加山雄三は、よく知らないけれど撮り鉄とか音鉄とかいろいろ入った筋金入りの鉄道オタクで、そういうシーンが必要以上にあるうえに、それに黙々とつきあう甄珍もヘンだと思った。