実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ビバ! アルジェリア(Viva Laldjérie)』(Nadir Moknèche)[C2004-48]

フィルムセンターの「現代フランス映画の肖像」(公式)で、ナディール・モクネシュ監督の『ビバ! アルジェリア』を観る。

舞台は2003年のアルジェ。イスラム原理主義過激派のテロが横行したりして不安定な状況にあるが、多少落ち着きつつある感じ。予備知識がほとんどなかったので、観ているときは9.11の影響なのかなと思っていたが、実は1990年代から内戦状態にあったらしい。

登場人物は、医師と不倫している奔放な女性グセム(リュブナ・アザバル)、かつてキャバレーのダンサーだった母親のパピーシャ、ホテルで母娘の隣に住む売春婦のフィフィ、それにグセムの不倫相手の息子であるゲイの青年など。つまり、イスラム原理主義のもとでは生きられない人々である。彼らが、生きづらい世界で不安を抱えながら生きるさまを描いていて、閉塞感に満ちており、悲劇的な最期を遂げる者もあるが、一方で、彼らを受け入れてくれる人や場所もあり、希望も感じさせる。

この映画を観ようと思ったのは、アルジェが舞台だから。勝手にアジアの旧市街みたいなところかと思っていたが、ぜんぜん違ってかなりおフランスっぽかった。街も歩いている人たちの雰囲気も。とりたてて魅力的な場所が出てくるわけではないが、やはりアルジェの街がこの映画の主役のひとりであることは間違いない。なかでもいちばんの見どころは、後半に出てくる『欲望の翼』シーン。石垣のある坂道、どしゃ降りの雨、そしてトンネル。

人間の登場人物もみんな魅力的。特にヒロインのグセムは、街をがしがし歩いていて、しかもエロくて、なかなかいい。清く正しいわけではない、世俗的な登場人物たちが、世の中に合わせるのではなく、自分を捨てないで、かつ外にも出て行かずに、ここでなんとか生きていこうと奮闘するところに共感した。