実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ひとりで生きる(Une vie indépendante)』(Vitali Kanevski)[C1991-51]

昼ごはんが少なかったので、映画の合間に白いタイヤキを買ってきた。はじめて食べるが、別にうまいものではない。ふつうの鯛焼き屋を作れ。

「ヴィタリー・カネフスキー特集上映」2本めは『ひとりで生きる』。『ひとりで生きる』といえば蘇慧倫(ターシー・スー)。このタイトルを見るたびに、ついつい‘在你的世界裡我一個人住♪’と歌ってしまうが、別に関係ない。関係ないけれど、これも蘇城(スーチャン)が舞台だから、やはり縁があるかも。

映画は『動くな、死ね、甦れ!』の続篇で、同じくパーヴェル・ナザーロフがワレルカ役で主演。前作でガリーヤは死んだが、そっくりの妹、ワーリャとしてディナーラ・ドルカーロワも再登場。思わず「香港映画かよ」とつぶやいてしまうが、もちろん香港映画ではない。

前作に比べて画面が端正になり、そのぶん生々しさは減った。しかしこれはこれでよい。フランス資本が入って技術的な面で充実したということもあるだろうが、ワレルカ自身が分別を身につけたため、彼が見る世界自体が、生々しくてパワフルでわけのわからないカオスではなくなったのと対応しているのではないかと思われる。

チラシによれば『動くな、死ね、甦れ!』の3年後だが、最初から成長して登場するわけではない。ワレルカもワーリャも、『ひとりで生きる』のなかで成長していく。うすのろっぽい顔や邪悪な顔が消えていくとともに、ワレルカは切ない表情を身につける。ワーリャの乗った船を見送るシーンが特に好き。成長するといっても、ほかの「少年が大人になるモノ」みたいに、希望を抱かせて終わったりはしない。ひとりで生きることは痛ましい。

カラーになった画面は、北国の光の淡い感じがよく出ていて美しい。霧に煙っているみたいなのもいい。やはり登場人物の歌う歌が主要な構成要素になっているが、前作よりもテーマ音楽が頻繁に使われている。

いちばん印象的だったのは、寒いのにもかかわらず、多くの登場人物が気前よく尻を出している点である。