実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ジャライノール(扎賚諾爾)』(趙曄)[C2008-35]

続いて中国インディペンデント映画祭2009の今日の二本めは、趙曄(チャオ・イエ)監督の『ジャライノール』。立ち見が出るほど盛況なのは、この映画の上映が2回しかないからというだけでなく、鉄ちゃんが大勢つめかけているせいらしい。どうもジャライノールは「蒸気機関車最後の聖地」と呼ばれていて、そのSLが出てくるのが原因のようだ(鉄ちゃんおそるべし)。そんなわけで、CO2を多量に排出してそうな映画である。

SLには特に興味はないが、蒸気機関車をシルエットでとらえたり、露天掘り炭鉱を蒸気機関車が走る様子を写したりしたロングショットの画面が美しい。季節は春節の頃で、光の淡い感じも忘れがたい。

物語は、ジャライノールの炭鉱で蒸気機関車の運転士をしている朱さん(劉遠生)が、退職して娘の住む町へ向かうのを、弟子の李治中(李治中)が追っていくロードムービー。ふたりの別れがたい心情は特に台詞では表現されず、ひたすらつきまとう李治中の行動や、冷たく追い返そうとしたり、しかたがないから切符を買ってやったりする朱さんの行動で表されている。朱さんはどんどん渋くなっていき、ほとんどリノ・ヴァンチュラみたいでかっこいい。朱さんが李治中を呼びだすために駅前広場(?)のカラオケで歌うのは、羅大佑(ルオ・ダーヨウ)の“戀曲1990”。

扎賚諾爾(ジャライノール)は、內蒙古自治區の呼倫貝爾(フルンボイル/ホロンバイル)市の滿洲里市にある(中国の行政単位はややこしい)。呼倫貝爾は海拉爾(ハイラル)があるところだ(呼倫貝爾の中心が海拉爾區)。海拉爾も滿洲里も、いつかぜったいに行きたいところ。

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