丸の内TOEIで、イ・ジョンボム(李正範)監督の『アジョシ』(公式)を観る。「アジョシ」とはおじさんという意味。ウォンビン(元彬)ほどのイケメンでも、コドモから見たらおじさんである、という衝撃の事実を告げる映画。「50代まではおにいさん、おねえさんである」と主張するわたしは認めないけどね。
情報機関の特殊部隊にいた過去があり、今は世間から隠れるように暮らしている男・ウォンビンが、母親のトラブルに巻き込まれて誘拐された隣の女の子・キム・セロンを助けるべく大活躍するお話。おもしろいことはおもしろいけれど、根本的なところで二点不満がある。
まず第一に、いろいろと興味深い要素が揃っているにもかかわらず、それらがバラバラで絡みあっていないこと。なぜか世間を避けるように暮らしている、特殊部隊出身の男。麻薬と臓器を売買するギャング。時おり思わせぶりな表情を見せる警察のチーム長。それらのあいだにもっと関連があっていいと思う。
韓国は今は自由に映画を作れるはずだが、警察とギャングとか、情報機関とギャングとか、そういうもののあいだの闇のつながりを描いたものが見当たらない(観てないだけ?)。韓国映画は総じて、そのようなリアリズムの方向には行かないで、なぜかエグい方向やオカルトっぽい方向へ行ってしまう。
第二に、キム・セロンがただウォンビンに助けられるのを待つだけの、か弱い女の子であること。わたしは、女の子が強くなったり、強い女の子が活躍したりする映画が好きなので、かなり物足りなく感じた。キム・セロンはとてもかわいいけれど、『冬の小鳥』[C2009-17]での寡黙な印象が強烈に残っているので、子供らしくしゃべりまくったりするのにはちょっと違和感を感じた。
最後にキム・セロンが助かる経緯を、詳細に描写せずに匂わすだけにしている点はたいへんよかった。
ウォンビンはかわいらしすぎて萌えない。劇中、彼が上半身ハダカで髪を切るシーンがあるが、あれはあのムキムキの胸を見せるためのサービスショットですか?