神保町シアターの特集「日本映画 女流文学全集 女流作家×女優 - 妖艶なる女たちの映画」(公式)で、三隅研次監督の『女系家族』を観る。原作は山崎豊子。未読。
- 出版社/メーカー: 角川書店
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このなかで露骨にえげつないのが京マチ子と浪花千栄子で、ひたすら爆走する。最初は神妙にしていた鴈治郎は、だんだん本性をあらわにし、分け前をかすめ取ろうと画策する。若尾ちゃんを狙っているっぽい雰囲気もある。その若尾ちゃんはといえば、無邪気なかわいらしい顔をして、「なんにもいりません」「旦那さんの書付なんかありません」と、しおらしいことこのうえない。だけど時おりお目々がキラッと光る。
予想どおり最後は若尾ちゃんの大どんでん返しで終わるのだが、そこまでのえげつない泥試合がめっぽうおもしろく、目が離せない。でも、勝ったのは若尾ちゃんというより、周到に準備をして、矢島家の血が一滴も流れていない愛人の子を将来の跡取りに据えるのに成功する旦那さんである。そうなると、結局は男の勝利の話じゃないか。ちょっと悔しい。
京マチ子には、最後までえげつなく暴走して自爆してほしかったのに、お金も男もままならないとわかったら、学習してよい子になっちゃったのが不満である。お目当ての田宮二郎はといえば、出番はそれほど多くないが、粋な着物姿や怪しげな洋服姿や、いろいろ見せてくれておおむね満足。
ところで、次女の旦那はお婿さんと言われているのに、養子縁組していないのだろうか。養子なら、姉妹と同等の相続権があるはずなのだが。いずれにせよ、当面お店を継ぐ次女夫婦の取り分が少ないように思われる。