今週末は忘年温泉旅行の予定。今日はちょうど小津安二郎の命日で、だからというわけではないが、行き先は『お茶漬の味』の修善寺温泉。
途中でお茶したいという下心があったので、早めの8時半すぎに出発。小津といえば松竹、松竹といえば富士山。稲村ヶ崎まで来ると、富士山がどーんと見える(↓左写真)。国道134号、西湘バイパス、真鶴道路、熱海ビーチラインと、ほとんど渋滞知らずで快調に飛ばす。それほど風が強いようには思われないが、海岸には時おりざぶーんと波が打ち寄せ(↓右写真)、『東京物語』の熱海は日本のハバナといった趣。波しぶきで、汚いパンダのフロントガラスがさらに汚れて景色も霞む。
今回は揚げバナナを諦め、熱海から静岡県道11号熱海函南線(新道)へ入る。11時ごろ、最初の目的地、伊豆仁田駅前の古民家カフェ、irodori(↓左写真)に到着。場所がわからなくて駅の近くをぐるぐる回ったが、実は駅舎の斜め前にあった。ほかにお客さんがいればソファの席が特等席だが、誰もいなかったので奥の部屋の縁側へ。日本家屋といえばやはり陽当たりのいい縁側だが、今日は暑すぎた。カフェを出ると、国道136号下田街道を一路修善寺へ。宿の駐車場に勝手にパンダをつなぎ、朴念仁(↓右写真)でお蕎麦の昼ごはん。ここは満席で、少し待たされた。
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ビールで酔っぱらったあとは、竹林(↓左写真)、修禅寺(↓右写真)、源範頼の墓など、修善寺を散策。
落葉樹はほとんど枯れ木になっているが、もみじはまだ見ごろ(↓写真)。
泊まるのはもちろん新井旅館(↓写真)。
ウソウソ、湯の宿・花小道(↓左写真)。貸切風呂の予約がチェックイン後なので、チェックイン時間の15時に♪い〜ちばんのりをや〜るんだ♪と力んでいたのに、二組も先を越されてショック。チェックイン後はまず大浴場の香神の湯(J先生は泉神の湯)に入り、18時から和風レストラン四季紙で晩ごはん。そのあと、貸切風呂の星の湯と月の湯(↓右写真)をハシゴ。
花小道は、大正時代の建物を残しつつリニューアルされた旅館。部屋食や布団敷きなどの旅館的サービスを排してホテル風にし、さらに玄関での送迎や精算などのフロント業務も徹底して合理化したうえに、設備や食事もかなり切り詰めることにより、新井旅館や菊屋の約半額を実現している。しかしこの旅館から連想される言葉は、正直なところ「リーズナブル」というより「貧乏くさい」である。古い建物を維持しつつリニューアルされた清潔な客室、和洋折衷のレトロモダンなインテリア、ホテル風の簡略かつプライベートを尊重したサービスといったコンセプトは、去年泊まった湯回廊・菊屋とほぼ一致するため、合理化したぶん部屋やお風呂や食事がゴージャスだった菊屋と、無意識に比較してしまうせいもあるだろう。
お金をかけないでふつうの旅館と同じことをやろうとすれば、貧乏くさくなるに決まっている。たとえばお風呂。13室しかない小さな旅館なので、半端な大きさのしょぼい大浴場を作るくらいなら、いっそのこと全部貸切風呂にして数を増やしたほうがいいのではないか。たとえば食事。しょぼい懐石料理もどきにするくらいなら、いっそのこと野菜料理とか家庭料理とか、それほどお金がかからないけれどここにしかない要素を盛り込んだものにしたらどうだろう。合理的にみえるのはいいが「経費節減」にみえてしまってはダメで、切り詰めているぶん、オリジナリティや一点豪華主義的なところも必要だと思う。