実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『チェ 28歳の革命(CHE: El Argentino)』(Steven Soderbergh)[C2008-17]

今日はキューバがらみの『帰郷』を観る予定なので、その前にスティーブン・ソダーバーグの『チェ 28歳の革命』(公式)を観るため有楽町へ。Meal MUJIで早めの昼ごはんを食べて、シャンテ・シネへ向かう。今日からパート2が始まってパート1の上映館は減ったようだが、ヒットしているっぽいわりにすいている。

1956〜1958年のキューバでのゲリラ闘争と、1964年にゲバラが国連で演説したときの様子が並行して描かれる。カリスマ以前のチェと、カリスマになりつつあるチェ。ハレの舞台で演説するチェと、その前後のふつうはカメラに映らないチェが、密着取材という感じに描かれている1964年のシーンがよかった。こちらはなぜかモノクロで、時代の雰囲気がすごくよく出ている。

ゲリラ闘争も淡々と描かれ、歴史をお勉強するような映画ではない。キューバ革命を全然知らない人が観たら、何もわからないまま終わるんじゃないかという映画。決定的に勝利したところで終わるのではなく、サンタ・クララを制圧し、ハバナへ向かうところで終わるのがいい。このラストシーンをはじめ、全体的に青春映画みたいな趣なのもいいが、いかに困難な戦いを勝っていったのかというのがもう少し伝わってほしい気がする。

この映画で何より問題なのは、主演のベニチオ・デル・トロである。誰がどう見ても、エルネスト・ゲバラ本人のほうがハンサムである。チェを美化するような映画ではないし、美化する必要もないが、本人よりブサイクというのはダメでしょう。

あと、「祖国か死か」って言われても困る。死もいらないけれど、祖国もいらない。