実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『花と嵐とギャング』(石井輝男)[C1961-17]

最近シネフィル業界では、『異常性愛記録 ハレンチ』[C1969-26]のDVDを買わないと人間じゃないような雰囲気だ。しかしわたしは録画のDVD-Rで十分と思っているので買わない(アマゾンからお薦めメールが来たけど)。その代わり、『花と嵐とギャング』を買った(これを買ったからお薦めメールが来たのだが)。

花と嵐とギャング [DVD]

花と嵐とギャング [DVD]

これは初めて観たときは衝撃的だったけれど、その印象が強烈だったあまり、その後録画で観たときは少しがっかりしたのだが、やはりすごくおもしろい。わたしの好きな「ナチュラルな演技」とは対極の、大げさな演技が楽しい。特に江原真二郎曽根晴美。このふたりが殺したいほど憎み合っているという設定だ。うちはわたしが江原派でJ先生が曽根派なので、火花を散らしながら観た(ウソ)。でもぶっとび具合はぜったい江原真二郎のほうが上だと思う。

主役の健さんも、下品な感じでなかなか楽しい。みんなこんなに楽しくやっているのに、ひとりだけ楽しんでいない人がいる。鶴田浩二、あんただ。せっかく「香港ジョー」なんて名前をもらいながら、なにひとりでかっこつけてるんだ。

これのDVDが出るなら、タンバと三原葉子が出ている『恋と太陽とギャング』もぜひお願いします。それよりなにより、日本ギャング映画の金字塔、『ならず者』[C1964-31]と『東京ギャング対香港ギャング』[C1964-21]をぜひぜひお願いしたい。『花と嵐とギャング』じゃメルヴィルに負けるけれど、『ならず者』なら負けません。