バンガロールに来ちゃったの

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『殺るかやられるか』(野村孝)(DVD-R)[C1966-V]

家で観たい映画はたくさんある。しかも未見の映画をまるまる一本観るほどヒマではない。それなのに、「まだ観ていないいづみさまモノを見つけたから」というワケのわからない理由で、J先生が勝手に『殺るかやられるか』をかける。気乗りしないまま観始めたが、これが意外に拾い物というか、なかなかおもしろかった。監督は『拳銃(コルト)は俺のパスポート』[C1967-30]の野村孝ということで、なんとなく納得。

主要なキャストは、高橋英樹杉浦直樹芦川いづみ高橋英樹杉浦直樹のボスのカタキで(とりあえずそういうことになっている)、しかもこの二人は芦川いづみをめぐって対立する。しかし高橋英樹杉浦直樹は、高倉健池部良のような、あるいは小林旭宍戸錠のような関係になっていくという、任侠風味のギャング映画。身代わりの服役だとか、殺した(ことになっている)男の妻との宿命的な出会いだとか、カタギの弟との兄弟愛だとか、麻薬には手を出さない古いタイプの親分だとか、カタギを装いつつ悪事に手を染める世代交代した組織だとか、観客を喜ばせるパーツがうまく組み合わされていて、娯楽作品としては悪くない映画になっている。

主要キャストには全くソソられないが、高橋英樹杉浦直樹芦川いづみという組み合わせはなかなか新鮮ではある。杉浦直樹は『ならず者』[C1964-31]を連想させる役柄なのが興味深く、存在感もアップして、『ならず者』のように影が薄くはない(頭もまだ薄くない)。ヤクザの妻だったくせにヤクザが嫌いでお嬢様言葉を喋るヒロイン像は、芦川いづみならでは。悪くいえば芸域が狭いということだろうが、ギャング映画としては新鮮かも。東映テイストを感じさせるストーリーをすべて日活の俳優が演じているのも新鮮。特に芦川いづみの夫。芦川いづみの娘が「これが私のパパよ」と言って指さした写真が江角英明だったのには爆笑した(冒頭でも映ったかもしれないが、あんぱん(新発売の日影茶屋のやつ)を食べていてよく見ていなかったので)。高橋英樹の弟、藤竜也の死の鍵を握る友人が野呂圭介だったのにも笑った。魅力的といえば郷硏治が出ていたが、これはどうしようもないただの悪いやつで、あまりソソられなかった。

高橋英樹杉浦直樹のあいだが怪しい雰囲気にならないのと、高橋英樹芦川いづみのあいだが進展しなさすぎな点は不満。何もないまま女性を置いて去っていくというラストはいかにも日活っぽい。

舞台は全篇横浜で、ロケ地的見地からも興味深い映画。ぜひ映画館で観なおしたい。