実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『陽のあたる坂道』(田坂具隆)[C1958-28]

結局観られなかった『東京⇔香港 蜜月旅行』のために買ったチケットがあったので、同じチケットで観られる「田坂具隆の世界」へ行く。石原裕次郎石坂洋次郎(読んだことはないけれど)も嫌いなので、『土と兵隊』とか『五番町夕霧樓』とかを観るべきだと思いつつ、やはり日活好きとしては押さえておくべき映画だということで『陽のあたる坂道』を観る。J先生は以前わざわざ有休を取って観たらしいが、いづみさまご出演映画なので2回目でも喜んでほいほい観に行く。

あいかわらず心情を説明しまくる台詞に観念的な台詞に理屈っぽい台詞、そして二十一世紀には化石のような登場人物(芦川いづみ、あんただ)…という石坂洋次郎の世界が全開。意外に3時間半の長さを感じさせないが、終わってみておもしろかったかと言われるとおもしろくない。たしか本作が大ヒットしたので『若い川の流れ』を作ったらこっちはコケた、と聞いたが、ふたつを比べてどっちがおもしろいかと言われたら『若い川の流れ』のほうがおもしろい。

川地民夫と小高雄二のデビュー作というところが貴重だけど、それだけに二人とも演技が硬く、見ていて疲れる。新進ジャズシンガー役の川地民夫は、のちの渋さはかけらもなくて、披露する歌は超ヘンだ。