実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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澳門旅行第六日:澳門

  • 朝食は近所の茶餐廳。香港ではおなじみの、麺類入りスープ+パン+コーヒーの朝食セット。残念ながら公仔麺はなく、通粉(マカロニ)か意粉(スパゲッティ)だったので意粉にする。当然のびのびだが、スパゲッティとは別物だと思えば食べられる。昨夜の偽鼎泰豐もそうだったが、このあたりはテーブルチャージだかなんだかがついて、頼んだものの合計金額より高い。新口岸ってつくづくやなところ。
  • 実質的には最終日なので、行き残しているところをあっちへ行ったりこっちへ行ったりしなければならない。まずは外港方面へ。『ならず者(雙雄喋血記)』[C1964-31]のラストシーンに出てくる、昔の香港行きフェリー乗り場の場所を探すのが目的だったけれど、山の形や車の方向からどうやら内港らしいと判明。しかたなく、とても評判が悪いけれどなぜかJ先生がとても見たがっていた觀音像や、中国人には大人気だけれどどう見ても趣味の悪い金ピカの盛世蓮花などを見る。
  • 外港碼頭の近くには、澳門漁人碼頭という、世界公園とショッピングセンターを一緒にしたような妙なテーマパークもどきができている。ターボジェットが港に近づくときに見て目を瞠ったハリボテの岩山は、人工火山のアトラクションだそうだ。ちゃちなのに思いきり脱力させるほどの潔さもなく、その中途半端さに寒いものを感じる。
  • 南灣大馬路から大堂周辺へ、建築を見ながら歩く。澳門陸軍俱樂部(ミリタリー・クラブ)(写真)は、ほんの少しだが、『東京ギャング対香港ギャング』[C1964-21]にも『ならず者』にも登場する。『ならず者』では、健さんが中に入るとそこはカジノ(もちろんセット)だった。この建物のある南灣花園(サン・フランシスコ庭園)一帯は建築の宝庫だ。
  • 大堂前地(カテドラル広場)近くの中国式邸宅、盧家大屋(写真)は、世界遺産に登録され、修復されて公開されている。一見地味だけれど、天井からの採光と、ポルトガル風の意匠もとりいれた細かい装飾が美しい建物。
  • 民政總署のトイレに行く。トイレ事情がいいとはいえない澳門(マカオ)で、ここのトイレは強力にお薦めしたい、でも本当は人に教えたくない穴場である。きれいで紙もあってしかも混んでいない。今日は掃除だかチェックだかのおばさんがいたが、トイレットペーパーで便器の蓋を拭いたあと、足で便座ごと上げて出て行った。いや、蓋じゃなくて便座を拭いてほしいんですが…。澳門のトイレは九割以上の確率で便座が上がっているが、このおばさんも、便座を使う人がいるなんて想像すらしていないに違いない(なぜ便座が上がっているか知りたい人は『迷子(不見)』[C2003-04](asin:B000KLR4QC)を観ること)。
  • 昼ごはんは船屋餐廳(A Lorcha)に再挑戦。バスで12時半の開店前に着き、様子を窺っていると入る人が何組もいる。気になるので私たちも入ってみたら、無事に席がもらえた。半分以上は予約で埋まっていて、開店時間にはもう満席。鰯の炭火焼などを食べる。ここは、『イザベラ(伊莎貝拉)』[C2006-19]で杜汶澤(チャップマン・トー)が梁洛施(イザベラ・リョン)と食事をして、お金を渡して追い払おうとするところ。うまい具合に近いアングル(写真)で撮れる席だった。
  • 中華料理店の場合、あまりお酒(特にビール)を飲まないとか、スープとご飯は必ずとるとかいった点が中国人(香港澳門人)を見分けるポイントだが、今回の旅行では西洋料理店の場合をいくつか観察することができた。その結果わかったことは、パンが運ばれてくると急に静かになって食べまくり、最初の料理が運ばれてくるころにはパンはもうほとんどない、ということだ。
  • 火船頭街まで歩き(だがやはり『2046』[C2004-05](asin:B00067HCWQ)の亭子脚はない)、今朝の続きの『ならず者』ロケ地チェック。かつての香港行きフェリー乗り場があった場所を探す。よく見ると、パトカーが碼頭に近づくところで16號碼頭もちょっとだけ映っているので、高倉健と杉浦直樹が会うところとほぼ同じあたりのようだ。もちろん、当時の碼頭やその前の道路の曲がったところなど、今は痕跡すら残っていない。
  • 廣州大酒店の廃墟を見たり市場へ寄ったりしながら議事亭前地(セナド広場)に戻る。義順で馳名雙皮燉鮮[女乃](牛乳プリン)の食べ納め。そのあと玫瑰堂(聖ドミンゴ教会)周辺の建築を見て回る。
  • 大三巴牌坊附近から葡萄牙駐澳總領事館(ポルトガル総領事館)方面へ向かっていて、石段の道、瘋堂中斜巷(写真)を通りかかる。もしやと思ってよく見ると、ここがまさしく『ならず者』のロケ地である。高倉健と丹波哲郎が、つけられているのに気づかないふりをしながら歩くところ。想定としては崗頂前地方面だと思われるが、それらしいところがなかったのでなかば諦めていた。この道は前にも通っているが、いつもは下から石段を見上げていて、上から見下ろすアングルは初めて。このアングルで見なければなかなか気がつかない。
  • 葡萄牙駐澳總領事館前で本屋(宏達圖書中心)を見つける。澳門では、本屋もCD屋も全然見かけず、これが初めて見つけたふつうの本屋さん。“澳門街道建築的故事”[B1192]と“澳門歷史建築的故事”[B1193]を買う。今回の旅行で、食べ物と交通費以外にお金を使うのはこれが初めて。
  • ホテルに荷物を置き、時間がなくなってきたのでバスを使って、再び漁人碼頭に行く。朝はまだ開店していなかった北京オリンピックの公式グッズを売る店で、パンダの晶晶のTシャツを買う。北京オリンピックの大会マスコットは、魚をモチーフにした貝貝、パンダをモチーフにした晶晶、聖火をモチーフにした歓歓、チベットアンテロープをモチーフにした迎迎、ツバメをモチーフにした妮妮で、五体合わせて福娃という名前である。五体いてそれぞれ違う色をしているところが、かなり戦隊モノっぽいというか、ほとんどゴレンジャーである。京都酒店近くの中國銀行にも大きめのぬいぐるみが展示されているが、晶晶のしっぽが黒いのは大問題である。
  • またもバスに乗り、澳門陸軍俱樂部へ晩ごはんを食べに行く(id:xiaogang:20070103#p2参照)。一度中に入ってみたかったので最後の夕食はここにしたが、味も雰囲気も悪くなく、選択は間違っていなかった。残念ながらギャンブラーの江原真二郎はいなかったけれど。
  • 今日の歩数は33523歩。三度もバスに乗ったのにこの旅行の最高記録が出た。