今日もフィルムセンターで、『日本俠客伝』シリーズ3本立て(しつこいが、料金は別)。結局最初の3本を観なおす暇はなかったが、まあしかたがない。今日の1本目は『日本俠客伝 斬り込み』(映画生活/goo映画)。
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キャストは、まずヒロインの藤純子がいい。テキ屋の親分の娘であるせいか、しっかりしていて自分の思ったとおりに行動するタイプ。出番も多いし、観ていて気持ちがいい。例によってクサさスレスレのマキノ式メロドラマも、名台詞、名シーン満載。「芸者にもなってみたいと思うからなるだけ」と言うところが好き。脚本の笠原和夫は、脚本を無視してマキノ風の女にさせられているのが大いに不満だったようだが(『昭和の劇 映画脚本家 笠原和夫』[B1097]より)、リアリズムでがさつなおばさんに描かれたら映画にならないと思う。
次に、テキ屋の大親分、花若を演じる大木実が超渋い。『日本俠客伝 白刄の盃』[C1967-32]でもよかったが、出番が少ないなあと思っていたら、今回は出番も多くて大満足。ナンバー1が鶴田浩二か高倉健で、ナンバー2が大木実、みたいな役どころで出てくることも多いが、これだとたいていぱっとしない。体型に貫録があっていちおう二枚目なので、親分とか悪役のほうが引き立つと思う。
内田朝雄に代わって今回いい人になるのは、なんと金子信雄である。しかも、思いっきりコミカルな部分を担っている。天津敏は、顔面神経痛の役でがんばっているが、そのせいで二枚目が台無しで影がうすい。代わりに目立つのが、悪役の親分、渡辺文雄。ヤクザ映画の渡辺文雄を見ると、まるで悪役をやるために生まれてきたかのように見える。松竹時代はどちらかといえば二枚目役で、「長沼です」なんて言っていたのが不思議だ。そうと知っていたら、佐分利信も笠智衆ももっと反対しただろう。
『日本俠客伝 白刄の盃』に続き、子役がよくないのが残念。マキノ監督って子役をやっていたくせに、子役の演出は超おざなりではないですか。