実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『日本俠客伝 雷門の決斗』(マキノ雅弘)[C1966-42]

CAFE FREDY(公式)で昼ごはんを食べたあと、2本目は『日本俠客伝 雷門の決斗』(映画生活/goo映画)。今日の上映のなかで、唯一全く未見の映画と思い込んでいたが、観てみたら録画で観たことがあった。

日本侠客伝 雷門の決斗 [DVD]

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この映画の見どころは、藤純子の父親で老いた元ヤクザを演じる島田正吾でしょう。独特の台詞まわしが、『人生劇場 飛車角と吉良常』[C1968-13]辰巳柳太郎とよく似た雰囲気なので、きっとこれが新国劇調というものなのだろう。映画としてはおそらく芝居がかりすぎているのだろうが、喋り方もすべてひっくるめて、一人の人物としての圧倒的な存在感があるので気にならない。だけど、たしか『ひらり』に出ていたのとずいぶん見た目の印象が違っていて、全然同一人物とは思えなかった。

今回の藤純子は、親がヤクザとはいえふつうの町娘だが、ワンパターンのぶりっこ演技なのが残念だ。内田朝雄はあろうことか健さんのパパで、「ありえないー」とか思っているうちにかっこよく死んでしまった。ずっと生きているとそのうちボロが出るか、あるいは「いつ裏切るのか」と観客に余計な気を揉ませてしまうからねえ。期待をはらんだ特別な空気を伴ってその名が囁かれる、伝説のヤクザに長門裕之。『日本俠客伝 血斗神田祭り』でもけっこう渋い役だったが、今度はさらに進んでほとんど二枚目。ゲスト出演は村田英雄で、健さんと再会してふたりで話すシーンがいい。「信ちゃん、わりかし水臭くなったな」とかなんとか言うところが好き。

『日本俠客伝 血斗神田祭り』よりキャストがちょっと地味になったのと、泣きが多いぶん前作よりも劣るが、これも悪くなかった。