実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『セクシー地帯(ライン)』(石井輝男)[C1961-37]

今日も有給休暇。東京国際映画祭第六日はずっと渋谷。朝からル・シネマへ。今日の1本目、映画祭12本目は、石井輝男監督の『セクシー地帯』(映画生活/goo映画)。「映画が見た東京」という企画の一本である。家にあって観たこともあるのだが、スクリーンで観たことがなかったし、ラインナップを見て「このなかで観たいのは『セクシー地帯』だな」と思ったら、『天堂口』の前の時間にぴったりとはまったのだ。

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『セクシー地帯』、最高だった。ラインシリーズ最高傑作。タイトルバックがかっこいい。流れるジャズがかっこいい。モノクロの映像がかっこいい。舞台は新橋・銀座界隈。ファースト・ショットをはじめ、和光の時計台が何度も映り、街角や路地が頻繁に登場する。『ならず者』[C1964-31]の原点ここにありという感じだ。

主演は三原葉子吉田輝雄。特に三原葉子は、彼女の代表作といってよく、キュートでセクシーで勇敢でもう言うことなし(でもわき毛はあった)。吉田輝雄は、まず名前が「吉岡」なのがいいし、けっこう真面目な役柄なのが妙におかしい。三原葉子が「ハンサムな男の子が好きだ」と言うと、超真顔で「僕のことかい?」と聞くし、地下室に閉じこめられ、錠前を開けようと三原葉子が奮闘している横で、「僕は君みたいないい娘に会えて、人生悔いないって感じだよ」と突然言って鬱陶しがられたりする。

近衛敏明のエロおやじぶりも見どころのひとつで、20年前には李香蘭木暮実千代をなびかせていたのが信じられない(当時そんな二枚目の役を割り当てられていたのがそもそも不思議なのだが)。細川俊夫の刑事もなかなかよかった。