実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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澳門旅行をふりかえる

一ヶ月も経ってしまったが、当日のブログも書き終えたところで、年末年始の澳門(マカオ)旅行を総括しておこうと思う(ちょうど今日は澳門が話題になっているし)。

■ 天候と荷物
直前の天気予報で雨マークが並んだときは心配したが、結局ずっといいお天気で、雨は気のせい程度しか降らなかった。なによりも心配だったのは寒さだが、最高気温が20度ちょっとくらいとかなり暖かく、寒波も来なくてほっとした。「荷物は最小限に」というポリシーに反して衣類のヴァリエーションをそろえたり、厚めのアウターを着て行ったりしたが、アウターはほとんどいらなかった。でもアウターや手袋のおかげで、行き帰りの日本でも寒い思いをせずにすんだ。なんでもかんでも荷物を少なくすればいいというものではなく、手袋ひとつ、下着一枚を加えることで買える安心の貴重さを学んだ。
■ 日程
「澳門なんて香港から日帰りで行くところ」と思っている人も多いだろう。だけど決してそんなことはない。6泊7日、実質5日間の日程では全然足りなかった。どうしても行きたいところは一応全部まわれたが、それでおしまい。それぞれの土地や建物をゆっくり見たり、ある程度土地勘ができたところを何度も歩き回ったりといったことはできなかった。今度は夏に十日間くらい行きたい。
■ ロケ地探訪
今回訪ねたのは、新しい映画では『イザベラ(伊莎貝拉)』[C2006-19]、古い映画では『ならず者(雙雄喋血記)』[C1964-31]が中心で、あとは『2046』[C2004-05]、『蝴蝶 羽化する官能(蝴蝶)』[C2004-11]、『ソウル(老娘夠騒)』[C1986-V]、『香港の夜(香港之夜)』[C1961-24]、『アジア秘密警察(亞洲秘密警察)』[C1966-V]、『三人の博徒』[C1967-V]などをちょっとずつ。『イザベラ』は、撮られてからあまり時間が経っていないわりに、見つかった場所が少なかった。一方『ならず者』は、予想よりは見つかったと思う。澳門は、60年代と今とでは大きく変わっているともいえるが、一方で、取り壊されることのない歴史的建造物が狭い土地にひしめいているので、基本的に変わらない部分も多い。ロケ地探しの愉しみを味わうには最適な土地なので、やはりもっとじっくり滞在してみたい。
■ 建築
澳門は、近代建築に限らず古い建築の宝庫だが、これまではあまり情報が充実していなかった。しかし最近は、澳門文物網(LINK)なるサイトもできて、公的に文化遺産などの認定や保存に努めているようだ。修復や再生も盛んで、あちこちで工事をしていた(新築みたいにきれいになってしまうのが難点だが)。今回は、世界遺産は一応全部見たし、上述のサイトの文物リストを参考に、かなりの建築を見てまわることができた。しかし、じっくり見るというわけには全然いかなかった。教会や著名な建築の中には、小さな博物館が開設されたり、博物館として使用されたりしているところも多く、中を見るチャンスでもあるのだけれど、時間がなくて入れなかった。
■ 食
実は黄金週に台湾へ行ったとき、台湾だというのにずっと食欲がなく、あまり食べられなかった。それがトラウマになって、またそうなるのではないかとひそかに恐れていたが、今回は全然問題なく、がつがつ食べた。ごはんがたくさん食べられるって幸せだ(最近胃拡張気味)。法蘭度餐廳(Restaurante Fernando)、澳門瑪嘉烈蛋撻店(Margaret's Café e Nata)、義順牛[女乃]公司の澳門三大グルメを再び味わえて満足だが、法蘭度に一度しか行けなかったのと、最後に蛋撻を食べられなかったのが心残り。それにしてもエンゲル係数の高い旅だった(高いものを食べていたわけではなく、ほかのことに全くといっていいほどお金を使わなかったので)。
■ トイレ
澳門のトイレ事情は、10年前の香港といった感じである(香港には最近行っていないのでよくわからないが、2002年に公厠の質が大幅に向上していて驚いた)。持参の紙は絶対に必要だし、香港と違って紙を流してはいけない。トイレは、観光客の多い戸外の観光地と公園にはたいていある。お薦めは旅日記にも書いたように民政總署。
■ 観光客
カジノ以外のところで見かけるふつうの観光客は確実に増えている。大陸からの観光客はもちろん増えているし、この時期ヴァケイションなのは日本くらいだから日本人観光客も多いが、西洋人もかなり見かけたし、もちろん香港人も多い。世界遺産への登録を契機に、澳門に来る旅行客の数も増えているし、カジノ以外で過ごす時間も確実に増えていると思う。ところで、澳門がカジノの街、あるいは香港のおまけという地位を脱して観光でやっていくためには、トイレの整備が急務である。
■ 北朝鮮問題
澳門には、ポルトガル時代からの大西洋銀行と、現在圧倒的に幅をきかせている中國銀行(この二つがお札を発行している)をはじめとして、香港や中國本土の銀行が多数存在する。しかし、北朝鮮の資金洗浄が取り沙汰されている澳門滙業銀行(Banco Delta Asia)は全然見かけなかった。どこにあるのだろうと思ってWikipedia(LINK)を見たら、あれ、ここ見たよ(写真を撮っていなくて残念)。ちなみに、金正男氏にも会わなかった。