実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『青春期』(唐大年)[C2006-04]

ひげちょう魯肉飯のお弁当を急いで食べたあと、今日の二本目、映画祭三本目は、やはりアジアの風の中国映画『青春期』(公式ブログ)。監督は唐大年(タン・ダーニエン)、主演は『胡蝶』に出ていた田原(ティエン・ユアン)。

ハンドブックには、「80年代生まれの世代を描いた普通の青春映画」というようなことが書かれていて、スチルでは制服を着た少年少女が写っていたが、高中(高校)時代の話はすぐに終わって、20代の、青春映画というにはちょっと年をとりすぎな年齢がメインだったし、「普通の青春映画」でもなかった。喜(田原)の夢が重要なモチーフとなっているが、私は夢とかが出てくる思わせぶりな映画が基本的に好きではない。もうひとりのヒロイン、七七(浦蒲)は、運命や占いに凝る女という私が最も苦手とするタイプ。都会に出稼ぎに来た青年が、知らない人に電話をかけて喜と心を通わせたり、工事現場から七七を見ていたりしてふたりとつながっていくというエピソードは、やりたいことはわかるけれど(というかわかりすぎて)、ちょっとあざとい感じがする。全体として、入れたいものがうまく消化できていないという印象を受けた。

ロケーションも、最初のほうでは赤煉瓦の建物が並ぶ北京と思しき街並みなどが出て来て期待したが、後半はディスコや高層マンションなど、都会的なところばかりで残念だった。近未来的な雰囲気の病院も出て来たが、実在する病院なのだろうか。

でも田原の官能的なくちびるはいい。23歳だとふつうなので、高校生の部分の方が倒錯的でよかった。『胡蝶』で観たときはちょっと太めというかごっつい印象があったが、本作ではかなりほっそりしていてびっくり。突然、小野リサが流れたのにもびっくり。