実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『あの夏の日の浪声』

アジア海洋映画祭のため、2時間かけて幕張まで行く。朱文のデビュー作、『海鮮』も観たかったが、土日とも幕張くんだりまで行くわけにもいかない。俺もどっち取るかっていやぁ、やっぱりおふくろのほう、じゃなくて台湾映画だな、というわけで『あの夏の日の浪声』を観る。世の中には、中華圏の映画、あるいは東アジアの映画は全部観るという人種が一定数存在するので、そのへんを配慮したプログラムにしていただけると嬉しい。

映画は、ちょっと昔の学校の感じとかよく出ていて悪くはないのだけれど、ボーイッシュなほうの女の子の顔があまりにおばさんくさいので、いまいちのれなかった。

陳秀玉監督のティーチインがあったが、ちょいと録音に失敗してしまったので、サイトへの全文掲載は断念。せっかくなので、いくつかのポイントだけここに書いておく。

  • 舞台は十数年前の高校。当時は、制服を着て、男女別学という、制約の多い生活であり、登場する3人の女性も、時代がもたらす様々な束縛から逃れることができない。自分が何をしたいかを模索しつつも、それが思うようにならないさまを描いている。
  • 過去の雰囲気を出すのが難しかったので、いろいろな場所で撮ったものをつなぎあわせている。
  • 白いシャツに黒いスカートという制服は、30代から40代の女性ならひと目でノスタルジーを感じるものである。
  • 海の舞台は高雄の近くの墾丁である。
  • 自分は、女性の立場から女性の角度で作品を撮っていこうと思っている。1作目、2作目とも虚構だが、自分が虚構として作りあげた女性像が観客に非常に評価され、自信になっている。
  • 沈宜君というキャラクターは、あくまでも女性ととらえている。容貌は男の子っぽいが、彼女が直面している問題は女性であるからこそのものであり、女性として自分の生き方を模索していると思う。
  • 台湾映画は、少し前まで製作本数も少なく製作が困難な状況だったが、現在は、政府が台湾映画をもり立てるための施策をとろうとしていて、環境は好転している。