実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『大陸流れ者/龍虎雙侠』

香港で撮られているものと思っていたこの映画、せんきちさんのblog『まぜるなきけん』で、実は台湾で撮影されているとの情報を得たので観直してみた。>せんきちさん、貴重な情報ありがとうございます。
鉄道の線路とか廟とか“古亭醫院”とか土手とか、たしかに台湾のようだ。ただ、残念ながら明らかにこことわかるところはなかった(舞台は香港だし、台湾でも公開されているようなので、あからさまにはわからないように撮っているのだろうか)。
以前観たときもイマイチだと思ったが、あらためて観ると、まずストーリーや脚本をもっと練ったら、と言いたい内容だ。台詞での説明に頼りすぎだし、楊群と大俳優・丹波哲郎の役柄や活躍のしかたも中途半端で不満が残る。主演の鶴田浩二もいまひとつ冴えない。それに、当時(昭和8年)の反日感情をすべて「心ない食いつめ者」の民間人のせいにし、やたら「ニッポン人」が連呼されるところは、まるで戦前の国策映画のようでいただけない。言語の扱いもいいかげん(中国語は全部北京語で、日本人の北京語はおそろしくひどく、楊群はヘンな日本語吹き替え)。香港で浄水場を作る話でぜんぜん流れないのに、『大陸流れ者』というタイトルもヘンだ。