実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『大巨獣ガッパ』(野口晴康)[C1967-38]

同じくシアターN渋谷で、野口晴康監督の『大巨獣ガッパ』を観る。

大巨獣 ガッパ [DVD]

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今度は日活版。こちらは監督も知っている名前だし、主演も川地民夫山本陽子、小高雄二とメジャーである。とはいえ、限りなくB級感が漂うキャストではある。

『宇宙大怪獣ギララ』[C1967-37]よりもさらにツッコミどころ満載。オベリスク島が独立国の一部なのか植民地なのか信託統治領なのかわからないが、とにかくそこを統治している国があるのだから、これは外交問題になるはずである。また、ガッパは海中を移動したり空を飛んだりできるのだから、他国も他人事のように静観しているはずはない。

しかしながら、ガッパ退治は国レベルで行われるものの、一私企業の社長と数名の社員、博士号すら取っていない生物学者、一島民の少年といった一部民間人のあいだでいろんなことが決まりすぎる。これほどの大事件になっているのに、子ガッパが最後までプレイメイト社の手の内にあるというのもあり得ない。子ガッパが脳波で親を呼んだことがわかっているのだから、解決策は最初から明らかだし…、などと言ってみてもしかたがないけれども破綻しすぎ。ガッパ退治が行われているところのすぐ近くに観光客みたいなのがいて逃げ惑ったりするのは、本来ならつっこむべきところだが、避難が後手にまわるのはいかにもありそうだと今なら思える。

少人数の登場人物を前面に出すことで、川地民夫と小高雄二が山本陽子を取り合うために仕事で張りあったり、ガッパの親子愛と社長の家庭を絡めたりしてドラマ的側面を強調しているのだが、日活映画とは思えないほど情緒的でとても見ていられない。最悪なのは、最後に山本陽子が会社を辞めること。いや、あんなひどい会社は辞めてもいいが、一連の体験の結果としてもっと納得のいく選択肢があるはずで、ふつうの主婦を選ぶというのがわけわからない。

川地民夫はせっかく主演なのにほとんどいいところがなかった。ヒロインが山本陽子というのも盛り上がりに欠ける。社長が金子信雄だったらもう少しおもしろかったかもしれない。藤竜也は、前半は小高雄二の研究室の研究者で、ふつうにしゃべっているように見えたのに、後半は米軍将校(?)の通訳になって、二世だというのでヘンな日本語をしゃべっていたのがナゾだった。藤竜也は双子なのかとか、そっくりな俳優がいるのかとか、真剣に悩んだ。ガッパは、顔はいまひとつかわいくないけれど、雄雌ペアで動いたり、親子三匹で飛んだりしているところはわりとかわいい。