実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ハウスメイド(하녀)』(林常樹)[C2010-62]

TOHOシネマズシャンテで、林常樹(イム・サンス)監督の『ハウスメイド』(公式)を観る。

金綺泳(キム・ギヨン)の『下女』[C1960-52]の不満な点といえば、下女が美しくないことと、エロくあるべきシーンがエロくないことである。だから、「全度妍(チョン・ドヨン)主演で『下女』をリメイク」と聞いたわたしの期待は、全度妍がこのふたつの不満を解消してくれることだった。そして彼女はその期待に十分答えてくれた。

ところが、そのほかの部分がぜんぜん『下女』とは違っていた。そういうものだと知って観たらよかったのだが、『下女』のあんなシーンやこんなシーン、まだかなまだかな〜、学研の、おばちゃんまだかな〜♪と思い続けて観ていたわたしは、失望の連続だった。終盤ついに全度妍が復讐することになり、「待ってましたー」と思ったらあっという間に終わってしまって…。なるほど、金綺泳と同じことをしたら、金綺泳に勝てるはずはない。しかし、金綺泳と違うことをしても、やはり金綺泳には勝てないのだった。

まずわたしがげんなりしたのは、舞台となるお金持ちの家の描写である。シャンデリアとか、「朝からそんなもん食うかよ」というような食事とか、主人のかしずかれかたとか、発想が貧困すぎる。安っぽいテレビドラマか漫画みたい。貧乏人に対しては何してもいいと思っているような金持ちというのが、そもそも漫画っぽい題材。つい、“流星花園”を連想してしまう。途中で奥さんの母親が登場し、母娘の確執や野望とか、ふたりと古株メイドとの関係などがおもしろくなることを予感させたが、結局中途半端に終わってしまった。

全度妍は、メイド服をエロく着こなし、ベッドシーンもエロく、なかなかがんばっていたと思う。見るたびに違う顔に見える彼女、今回はふかっちゃんに見えた。ただ、彼女の女優魂を賞賛するような感想をいくつか目にしていたが、そこまでではなかったと思う。彼女が働く家の主人役が李政宰(イ・ジョンジェ)なのも期待ポイントのひとつだったが、いまひとつで、李政宰のムダづかいという感じだった。