実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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オーストリア旅行第一日:成田→Wien(ウィーン)

今年の黄金周は、4月30日から5月8日まで、ウィーンを中心にオーストリアへ行くことになった。ウィーンといえば、アジアに興味をもつ前から行きたかった都市。しかしなぜ急に行くことになったかというと、「どうしてもウィーンに行きたい」というJ媽(つまりJ先生の媽媽)を案内するというミッションが与えられたからだ。そのため、スーツケースとか直行便とか高級ホテルとか無理のないスケジュール(ムリ、ムリ)とか、いつもとはちょっと毛色の違った旅になる予定である。ちなみに、わたしはオーストリアもウィーンもはじめてだが、J先生は一度学会で行っていて、出張とは思えないほどいろんなところをまわっている。

J媽は水墨画を描いたりピアノを弾いたりする人であるが、旅の主目的は美術でも音楽でもなく、韓流ドラマ『春のワルツ』のロケ地めぐりである。わたしたちが旅行に行ってはロケ地めぐりをしていることなど、J媽は全くご存じないが、偶然にも得意分野の課題が与えられたわけだ。『春のワルツ』には特に思い入れはないが、観てしまったからには出てきたところに行ってみたい気持ちにもなる。ロケ地研究家の血が騒ぐ、というやつである。

一方、わたしにとってはウィーン=世紀末。興味の中心は、エゴン・シーレとかオットー・ヴァーグナーとかウィーン工房とかカフェとか、世紀末芸術、世紀末文化全般である。あまりハードな予定はたてられないので、郊外の建築めぐりやお墓めぐりは諦めることにしたが、行ける範囲で自分の興味も満たしたい。ウィーンで撮られた映画には、『第三の男(The Third Man)』[C1949-17]、『愛の嵐(Il Portere di Notte)』[C1973-02]、『恋人までの距離〈ディスタンス〉*1(Before Sunrise)』[C1995-09]などがあり、いくつか行きたいロケ地もある。しかし、どうしてもロケ地めぐりをしたいというほどの映画ではないので、こちらもほどほどにとりまぜる予定。

広島から来たJ媽につきあって、成田ポートホテルに前泊したわたしたちは、いつものロイヤルで朝ごはんを食べ、オーストリア航空(OS)052便(↓左写真)に乗り込む。ほぼ定刻(10:55)に出発。時計を7時間戻して、オーストリア時間(サマータイム)にする。飛行時間は約12時間で、『ハプスブルク三都物語 - ウィーン、プラハ、ブダペスト』[B1386]を読んだり、ドイツ語の勉強をしたり(『旅の指さし会話帳48 オーストリア』)、適度に睡眠をとったりして過ごす。食事は、離陸後にふつうの食事、到着前に軽食(↓右写真)、途中でミニチキンラーメン。


ほぼ定刻(15:55)にウィーン国際空港(Flughafen Wien-Schwechat)に到着。手荷物受取所のインフォメーションでウィーンカード(Wien-Karte)とシティ・エアポート・トレイン(CAT)の切符を買う。『春のワルツ』ロケ地の到着ゲート(↓左写真)を出て、CATでウィーン市内(シティ・エア・ターミナル)へ。CATはウィーンカード割引でも往復€15とクソ高いが、さすがに速い。ウィーン・ミッテ駅(Wien Mitte)で後日乗る予定の国鉄の指定席を取り(ネットでは乗車券しか買えなかった)、地下鉄(U-Bahn)U3でStephanspl.へ移動。地上へ出て巨大なシュテファン寺院(Stephansdom)を目にしたとたん、激しくショックを受ける。修復中で、部分的にではあるが写真パネルで覆われており、一瞬「ここは台湾か?」と思う。ウィーン一の繁華街、ケルントナー通り(K�rntner Stra�e)を少し歩いて、クラシカルな雰囲気のホテル・アストリア(Hotel Astoria Wien)にチェックイン(↓右写真)。

すでに19時近いのですぐにお出かけ。今日は、ウィーンの繁華街であるケルントナー通り、グラーベン(Graben)、コールマルクト(Kohlmarkt)とその周辺を歩く予定。今日のウィーンは25℃以上の暑さで、通りに並べられたカフェやレストランの屋外席(シャニガルテンというらしい)はどこも賑わっていて気持ちよさそう。

ロプマイヤー(Lobmeyr)をちらっと覗いてから、脇道に入って『第三の男』でカフェ・モーツァルト(Caf� Mozart)のセットが作られたノイアー・マルクト(↓上左写真)、オイゲン公都市宮殿(Stadtpalais des Prinzen Eugen)(修復中)、『第三の男』ロケ地のバルガッセ(Ballgasse)(↓上右写真)、『恋人までの距離』ロケ地のクライネス・カフェ(Kleines Caf�)(↓下左写真)、Adolf Loos(アドルフ・ロース)設計のAmerican-Bar(アメリカン・バー)(↓下右写真)などを見ながらシュテファン寺院にたどり着く。


シュテファン寺院は、『春のワルツ』にも(↓上左写真)、『第三の男』にも(↓上右写真)、『愛の嵐』にも(↓下左写真)登場する。『第三の男』では戦争の傷が痛々しかったが、現在もある意味痛々しい姿。修復中でも内部は機能しているようだ(↓下右写真)。

グラーベンに入る。『春のワルツ』では↓左写真の左手前あたりにコーヒースタンドのようなものがあったが、セットだったのか季節限定なのか、現在はなかった。↓右写真は、シュテファン寺院とアウガルテン(Augarten Wien)をバックに、ウニョンとフィリップが乾杯していたところ。

アドルフ・ロース設計の紳士服飾店クニーシェ(Schneidersalon Kni�e)(↓左写真)やマンツ書店(Manz Book)(↓右写真)を見ながら、グラーベンからコールマルクトへ。そろそろ薄暗くなり、覗きたいお店もみな閉店してしまっている。

ミヒャエル広場(Michaelerplatz)までたどり着き、ぜったい行きたいカフェのひとつ、カフェ・グリーンシュタイドル(Caf� Griensteidl)(↓上写真)で晩ごはん。ビールを飲みながら、Fiakergulasch(↓下左写真)やサラダなどを食べる。爪楊枝があるのにも少し驚いたが、それがパンダマーク(↓下右写真)だったのは嬉しい驚き。

すっかり暗くなったなか、22時ごろホテルに戻る。今日の歩数は12467歩(J先生の万歩計では14061歩)。

*1:DVDタイトルは『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』