実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『結婚』(木下惠介)[C1947-18]

ついでに次の『結婚』も観ることにして、開場までカフェでくつろぐ。フィルムセンター附近の安いカフェでは、メニュー的にはおそらくBLESS COFFEEがいちばんいいが、この店はくつろげないということをお昼に確信した。たまにはタリーズでも行こうと思ったらなくなっていて、結局いつものようにドトールへ。

木下惠介には特に興味はないが、上原謙田中絹代の『愛染かつら』[C1938-09]コンビでヒットしたという話だったので観てみた。しかし、やたらと湿っぽいうえにハッピーエンドという最悪の展開。チラシには「華やかなメロドラマ」とあったが、あまり華やかには思えない。おまけにフィルムの状態が非常に悪く、フィルムも登場人物も泣いてばかりという感じだし、台詞は半分くらいしか聞き取れない。

ストーリー自体もいまひとつなのだが、何がいけないかといえば田中絹代である。家計を支えるため、婚約者の上原謙となかなか結婚できないという想定だが、なかなか結婚できないといってもせいぜい20代後半くらいの設定だろう。しかしこのとき田中絹代は37歳くらい。無理です。冒頭、着物にヘンな髪型で登場したときにはどう見てもおばさんにしか見えなかったし、後半、ジャンパースカートなどの娘らしい格好で登場するシーンはかなり見苦しい。こんなにフィルムの状態が悪いのに、アップが辛くてたまらない。

唯一のみどころは、田中絹代の妹役の井川邦子さん(お店でナマ井川さんを何度か拝見しているので呼び捨てにはしづらい)。『麦秋[C1951-02]より大分若い、娘役の井川邦子さんが見られます。組合の闘士で、ババくさい田中絹代とは違って元気ハツラツ。