実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『肖像』(木下惠介)[C1948-16]

東京フィルメックス3本めは、東劇で木下惠介監督の『肖像』(FILMeX紹介ページ)。特集上映「ゴールデン・クラシック1950」の一本。 『麦秋[C1951-02]で高子役をやっていた井川邦子さんが主演。土曜日に珈琲井川へ行ってナマ井川さんがお元気なのも確認したので、準備は万全だ。木下惠介だし、映画そのものには特に期待していない。

出演する男優陣が、小沢栄太郎、菅井一郎、藤原釜足、安部徹(佐田啓二も出てるけど)。「すごい悪党映画か?」と思うが、人がよくて世間知らずの画家と、戦争帰りのその息子と、いかがわしい不動産ブローカーが二人。さあて、だれがだれでしょう?

麦秋』と同じく、菅井一郎と東山千栄子が夫婦で嫁が三宅邦子。その夫、つまり菅井一郎の息子が安部徹なわけで、関係はちょっと変わるが、もしかして『麦秋』の次男の省二は安部徹じゃなかろうかと思ったりする。そうなると二本柳寛と安部徹が親友同士ということになり、これもかなり悪党っぽい。これだとゲイ疑惑はないな。

映画のストーリーは、借家人の菅井一郎一家を立ち退かせようと二階に越してきた不動産ブローカーの小沢栄太郎とお妾の井川邦子が、一家の善良さにだんだん感化されていくというもの。井川邦子小沢栄太郎の娘と勘違いされて「お嬢さん」と呼ばれているうちに、だんだんお嬢さんっぽくなっていくのが楽しい。しかしメッセージがけっこう前面に出ていて、終盤泣きがいっぱい入ったりするのがうざい。