- 作者: 邸景一,荻野純一,柳木昭信,伊東ひさし,旅名人編集室
- 出版社/メーカー: 日経BPコンサルティング
- 発売日: 2008/07/03
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
日本が台湾を植民地化したときに、城壁を壊したり廟を移転させたりしたことについては、ほとんど非難しないばかりか「先見の明」とかなんとか書き、(別に蒋介石の肩をもつわけではないが)戦後蒋介石が日本の植民地遺産を壊したことは非難するという偏った姿勢がいやだ。日本が植民地や占領地に作った建築にはいいものがたくさんあり、それらは日本建築史に正当に位置づけられているとはいえず、正当に位置づけられ、評価されるべきだとは思う。しかしだからといって、根拠もなく、べたべた褒めればいいというものではない。
前ほど気にならなくなったが、文体はあいかわらず。たとえば、華山創意文化園区の説明。第一文が「不思議な空間であった」(p. 199)。もはやうなるしかない。写真のセンスの悪さも同じで、なぜかほとんどの写真が暗い。本文を読むかぎり、取材もけっこう駆け足っぽい。せっかくここまで詳しく書かれていて、写真もふんだんに使われているのだから、もっとじっくり、きちんとした本をつくればいいのに、なんかもったいないなあと思う。