バンガロールに来ちゃったの

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『女体渦巻島』(石井輝男)[C1960-54]

石井輝男二本めは『女体渦巻島』。

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今度は主役が吉田輝雄三原葉子の黄金コンビに代わったので、安心して観られる。荒れた海を見下ろす断崖、そこに立つ人物のロングショット、『皆殺しの歌』みたいな渋い音楽、無国籍なキャバレーに黒いスーツのギャング…。見どころいっぱい、ムードも満点。

冒頭からインパクトのあるものがぽんぽん飛び出しすぎて、後半はちょっとだれるように感じられるのが惜しい。この映画でいちばんすごいのは、なんといってもタイトルだろう。『女体渦巻島』。これを越えるインパクトは残念ながら本篇にはない。もしかして女体の鳴門巻きみたいなものを期待して来られた方は、多少がっかりするかもしれない。

次にすごいのは、最初に出る説明である。時代も場所もさだかではないような女体渦巻島とは実は対馬。「東洋のカサブランカ」と呼ばれ、戦後は密輸の本拠地になっているのだそうだ。すごすぎる。これを越えるインパクトも、残念ながら本篇にはない。

本篇がはじまると、断崖に立ってある男への復讐を誓う吉田輝雄がいきなり登場。リアリズムとはほど遠い、その作りこんだ異様な雰囲気。いや、単に新人で演技が硬かっただけ、という説もあるようだが、わたしはそうは思いたくない。吉田輝雄テイストは、すでにここで発揮されていると思う。

そして今回はオトナの魅力でせまる三原葉子。次々に衣装を変えるサービスぶりで、わたしはフードつきの白い服がよかったが、黒い下着姿に赤いガーターベルトに悩殺された方も多いだろう。踊りもたっぷり。ヤク中シーンもあるが、石井輝男ってほんとにヤク中シーンが好きだよね。

松原録郎(だれ?)扮する殺し屋もなかなかよかった。

あとは『女王蜂の怒り』との類似点多数。二枚目なのに、意識を失わせないと女性を手に入れられないボス、天知茂。借金のカタに若い女の子を追いかけまわし、主人公にやっつけられるエロじじい、近衛敏明(J先生、感激)。主人公を追いかけまわす女の子、星輝美。ヒロインの名前(読み)はどちらも「ゆり」で、ダンスシーンではじまるところも同じ。近衛敏明に追いまわされるのは万里昌代だけど、万里昌代って陳慧琳(ケリー・チャン)みたいだ。

東宝特集と聞いて胸が躍ったわたしだが、残念ながらこの二本しか行けそうにない(ほんとはタンバ主演の『殺人容疑者』が観たいのだが)。せっかくのすばらしい特集なのに劇場はガラガラ。シネマート六本木でわたしが観る映画はたいていすいているが、中華系映画や韓国映画のファンにはそれなりに認知されてきていると思う。しかし、フィルムセンターやラピュタ阿佐ヶ谷神保町シアターを満員にしている人たちにはまだアピールできていないようだ。もっとうまく宣伝して、次はぜひニュー東映特集をやってほしいものである。