実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

『続・愛染かつら』(中村登)[C1962-42]

三本めは『続・愛染かつら』で、これは初見。『愛染かつら』はいちおうハッピーエンドで終わっているので、続篇なんて蛇足ではないかと思いながら観たら、やはり蛇足だった。

岡田茉莉子は歌手の仕事が忙しく、津村病院は院長(笠智衆)が亡くなって吉田輝雄が院長になるが、経営が思わしくないため院長の座を追われ、ふたりはすれ違いを繰り返す、というお話。岡田茉莉子のマネージャーが三井弘次というのがヤバヤバな雰囲気で、香港に売られちゃうんじゃないかとか、つい余計な心配までしてしまう。津村病院の経営建て直しに乗り込むのも、佐分利信ではなくて佐藤慶。こっちのほうが三井弘次より悪者。

最後は結局、子供のために歌手をやめるというのが、女性としてはどうも納得できないところ。単に結婚するのではなく、津村病院の看護婦に戻ったのはよかったけれども。

『愛染かつら』というのはいわゆる「すれ違いメロドラマ」の代表だと思うが、ほかのすれ違いメロドラマと比較してユニークなのは、「実際にすれ違う」ということにこだわっている点である。本篇、続篇含めて何度かあるすれ違い場面では、極力ふたりが実際にすれ違うように設定されているし、とりわけそれを映像化して見せるようにしている点が興味深い。