『神火101 殺しの用心棒』の同時上映は『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』。観るのは2回めだが、ラストの花火くらいしか憶えていない。前回観たのは1995年で、吉田輝雄も石井輝男も特別ファンだったわけではない気がするので、久しぶりに観てみた。江戸川乱歩の『孤島の鬼』に、『パノラマ島綺譚』、『屋根裏の散歩者』、『人間椅子』を混ぜたもの。『孤島の鬼』は読んだおぼえがない。
石井輝男のエログロものはだいたいそうなのだが、グロの部分の趣味が悪すぎてエロくない。この映画はもともとあまりエロくない(女の狂人がみんな乳出してるのはサービスなの?)うえに、奇形人間とかキワモノ度が高すぎる。暗黒舞踏にも惹かれない。奇形人間みたいな想像上の産物は、やはり文字で読むから雰囲気が出るのであって、視覚化してしまうと滑稽にしかならない。最後のほうでみんなして大まじめになって、感動映画みたいになってしまうのも興ざめ。
しかしもちろん、ラストシーンは必見。「『恐怖奇形人間』を観て死ね」という感じでしょうか。
吉田輝雄は登場シーンも多く、例によってひとり大まじめでなかなかよかった。大まじめだけど、戸惑いつつもやることはやるところもいい。大木実が出ていることなんてすっかり忘れていて、しかも明智小五郎だったのでびっくりした。でも、「時間が足りないから明智小五郎の語りで手っ取り早く話を進めましょう」的に、いきなり登場して早口で真相をしゃべりまくるっていう展開はどうなの? 小池朝雄はいつものように大活躍。吉田輝雄と由美てる子がどちらも二役というのが香港映画的。