実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ビューティフル・クレイジー(亂青春)』(李啟源)[C2008-05]

4本めは、『チョコレートラップ』[C2005-08]の李啟源(リー・チーイェン)監督の『ビューティフル・クレイジー』。リー・チーイェンというのは映画祭サイト等での表記だが、これはおかしい。リー・チーユアンでしょう。

三人の女の子の友情、愛情、親子関係などを、時間軸を交錯させて描いたもの。なんとなくいやな予感がしていたとおり、ひとことで言うとMTV映画(最近は中華圏でもMVと言うらしいが)。編集でかなり作り込んだ映画だが、もっとシンプルにしたほうがよかった。感性で作るのに別に反対はしないが、どこかにロジックとか一貫性とかルールとかがないと、すべてが感性ではダメだと思う。

断片的なショットがまず出てきて、のちにそのショットを含むまとまったシーンが出てきて意味がわかる、というつくりはそれなりにおもしろいが、同じ断片的なショットが繰り返し出てくるのがくどいし、やたら思わせぶりな感じがいやらしい。

一見したイメージとは逆に、印象に残るのは何度か出てくる長回しのシーンだったりする。女の子がゲームをする後姿を見て、彼女が昔ひと目惚れした女の子だということにはじめて気づくところとか、以前遊んだ女の子から今日が誕生日だと言われて娘の誕生日に気づくところとかはいいなと思ったが、全体の作り込んだ印象のためにそれらがいまひとつ生きていない。

ロケ地は、雰囲気のある場所がいろいろ使われていたが、いまひとつ空気感が伝わってこなかった。観ていてデジタルなのかと思ったけれど、プログラムを見るとフィルムのようだ。屏東糖廠はもうないと思っていたが、よく似たところが出てきたのが気になる。美樂華百樂園の摩天輪と思しき観覧車も出てきた。お正月に行ったときは、「今のところまだ出てきていないけれど、そのうちきっと映画に出てくる」と思っていたのだが。

上映後、李啟源監督と出演者をゲストに、ティーチ・インが行われた。姚安蒞(エンジェル・ヤオ)、李律(アミヤ・リー)、廖千慧(リャオ・チェンホイ)の三人のヒロインのうち、来たのは姚安蒞と廖千慧。姚安蒞は、映画中で、ウェーブのかかった長い髪を二つ分けにして、ミニスカートの制服を着ていたのがものすごくよかったのに、やってきた彼女は全然違う雰囲気で露骨にがっかりした。廖千慧はかわいい系なのであまり興味なし。

ティーチ・インはあまり特筆すべき内容はなかった。わたしの苦手な、間違いが多い英語通訳だったが、また長回しをlong shotとか訳していた。